レポ44:特牛灯台(2019/11/7)
小さな身なりから放たれる強力なレーザービーム。そのギャップで灯台ファンの支持を集める山口県の特牛(こっとい)灯台の「夜な顔」を拝みに訪れました。
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ44:特牛灯台(2019/11/7)
時刻は17時過ぎ。山口県下関市の特牛(こっとい)港に到着。既に辺りは黄昏時で薄暗くなってきていました。
港の中ですが特牛灯台のすぐ手前まで車で乗り入れ可能でした。山道はすぐ暗くなるため夕陽が沈みきる前にダッシュで灯台入口へ向かいます。
灯台までは200mくらい山道を進みます。柵や照明などは整備されていないので、日が沈むと真っ暗になり転落リスクがあるため非常に危険です。もし訪れることがあればお気をつけください。
まだ日没前だったので何とか手元照明なしで辿り着けました。
山道を抜けると、開けた草叢の中にひょっこり後ろ頭が見えています。ちなみにこの草叢だらけの場所は、かつて吏員退息所(灯台守の方の住居兼事務所のようなもの)跡だそうです。
灯台は一段低い場所にあるため、灯台の後ろ姿を俯瞰的に臨むことができます。西方の茜空に向かってこれから仕事を始める背中が男前です。
かつて角島大橋が出来る前は、特牛港から角島への渡船が出ており当時に比べれば灯台としての役割は小さくなったかもしれませんが、いまだ存在感は充分です。
正面から見ると塔高6mの、ちんまりした可愛さもあります。
眼前は危険な岩礁地帯となっているため、灯光が分孤(航行が危険な範囲は赤光、安全な範囲は白光)です。灯光は135°の範囲を照らしますが、安全地帯の白光はなんとその内の9°しかありません。そのため殆ど目が赤く光って見えます。
すっかり日が暮れた18時頃。特牛灯台の灯火が本領発揮です。照射灯はまるでレーザービームのよう。
小さな照射灯は崖下約150m先の「特牛地ノ瀬」という岩礁地帯にある標柱を目掛けて照らしています。
横から見た標柱との位置関係はこんな感じです。
そんな特牛灯台は、夜間には我々を危険な海の恐怖から護ってくれるナイトのよう。その身の丈以上にはるかに大きな存在です。
横顔もシブいですね。
秋冬ごろに訪れると日没が早いですから、まだ明るいうちに灯台まで登り、赤く光った灯台を見て帰りやすいです。
あと、夏場は蒸し暑さとの闘いや、虫や蜘蛛の巣だらけなので、そういう面からも秋冬の方が訪問しやすいかと。
帰り道は真っ暗闇でしたので、さすがに手元照明(今回はスマホライトでした)無しでは厳し過ぎると思います。くれぐれもお気を付けて。
村上 記