レポ84:都井岬灯台(2024/9/21)
鹿児島県と宮崎県を分かつ志布志(しぶし)湾。宮崎側の都井岬(といみさき)には南国情緒ある自生のソテツと御崎馬と呼ばれる野生馬が、灯台とともにのびのびと暮らしています。
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ84:都井岬灯台(2024/9/21)
宮崎県串間(くしま)市の南端にある都井岬(といみさき)は日南海岸国定公園の一部で、その先端には今回の目的地である都井岬灯台があります。
都井岬に向かうには、宮崎空港から自動車で片道2時間弱の道のり、または最寄りのJR串間駅からコミュニティバスで45分(「都井岬」下車)・更に徒歩30分程度かかります。
岬の入り口には「駒止の門」という関所があり、これより先は、1953年に国の天然記念物に指定された野生馬「御崎馬(みさきうま)」の生息地となります。
「駒止の門」より先は馬が放牧されているエリアで、車両の制限速度は30km厳守、馬と接する際の注意事項を渡されますのでよく読んで気をつけましょう(馬の後ろから近づくのは絶対NGなど)。通過車両は保護費用として400円を支払います。
門から少し進むと右手に岬が一望できるフォトスポットがあります。この日は朝早い時間帯でしたが、夕陽の時間には絶景が拝めるそうです。
更に進んだ先に、都井岬観光交流館「パカラパカ」という施設があり、車を止めて都井岬灯台の遠景を眺めていたら、ゾロゾロとお馬さん達が朝の散歩とごはんを食べに集まってきました。
ちなみに「パカラパカ」は24時間開放されたバリアフリートイレや授乳室が完備されており、非常に快適な休憩施設でした。
道路に沿って自動車で更に数分ほど走ると目的地である灯台が見えてきました。灯台の目前に無料駐車場がありますので、ギリギリまで車で向かって大丈夫です。
都井岬灯台は、2024年現在で日本に16基ある「のぼれる灯台16」として認定されており、沖縄県を除く九州地域では唯一の参観灯台となります。
ただ参観灯台だからこそ入口の門扉が開くのが参観時間の午前9時頃からとなります(終了時間は季節により変わり、16時半〜17時)。
灯台敷地内は、灯台を王宮に見立てるが如く非常に整然とした、美しい景観です。
灯台の足下には南国情緒溢れる植物(ソテツ)が生えています。海抜245mの断崖の上に設置されているため、灯台の高さは15mと低めです。
※遠くまで灯台の光を届けるために、高い地形に設置できれば灯台自体の塔としての高さは必要ない
灯台の内部を登ると東方面の日向灘をはじめ、三方面のオーシャンビューを臨むことが出来ます。屋外は強風なのでご注意を。
都井岬灯台は屋上庭園的な構造にもなっており、灯ろう(灯台のレンズが入っている部分)と志布志湾を収めるアングルは絶好のフォトスポットになっています。
都井岬灯台は、1929年(昭和4年)12月22日に初点灯した八角形コンクリート造の灯台で、設置には当時の日本海軍からの要請もあったとのこと。
当初は国産の1等レンズを使用していましたが、その後、空襲や台風などで度重なる灯ろう部の大破を経て、建設当時のもので現存しているのは灯塔部分のコンクリート造だけとなっています。
灯台参観を終えると御崎馬が灯台敷地内まで来ていました。「駒止の門」付近の小松ヶ丘から都井岬灯台までは、結構な距離があるのですがトコトコ歩いて来たのかな。
灯台からの帰りがけに御崎神社にも寄り道。こちらも神社付近に駐車場があります。
国の天然記念物に指定されている「ソテツ自生地」が約3000本と、708年に創建されたと伝えられる御崎神社があります。
都井岬灯台を訪れた際は、灯台だけでなく御崎馬やソテツなど見所が沢山ありますので、旅行・観光地の候補地としても楽しめます(岬内で民宿の宿泊、グランピングも出来ます)。
村上 記