レポ73:樺島灯台(2021/3/24)
長崎県南部の樺島(かばしま)。かつては船舶が水を補給していた島の山頂から天草灘へ光を照らす灯台に、桜とともに訪れました。
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ73:樺島灯台(2021/3/24)
長崎県には大小無数の島があります。今回はその中でも樺島(かばしま)にある灯台を訪ねてみました。樺島は長崎県の南西端に位置し、島には橋が架けられており、陸続きで車でも渡れます。
島名の由来は各所から湧水が出て井戸が掘られたため、行き交う船が水を補給したことことから「川場島(かわばしま)」と呼ばれたのが訛(なま)ったそうです。
今回訪問する樺島灯台は灯高(平均海水面から灯火までの高さ)が125mを超え、急峻な山頂にそびえ立っています。曇り空で少し見えにくいですが、灯台へ向かう途中の道程から灯台が顔を出しているのが分かりました。
車だとすれ違うのも窮屈な山道を道なりに進むと、突き当たりには少し広めの駐車場があります。灯台周辺は公園となっているようです。
駐車場の前には芝生広場もあり憩いのスペースとなっています。ただ、ここまでに至る道のりを考えるとよほどの物好きでないと来ないとは思いますが(ウォーキングイベントなどは開催されているそう)。
広場からは灯台とともに春をお祝いするかのように桜が咲き乱れていますので、春頃に訪問するのが良いかもしれません。
訪問したのは3月下旬ですが、既に葉桜気味だったためお花見にはもう少し早めに来た方が良かったのかもしれません。
樺島灯台は、以前は野母埼(のもさき)灯台と呼ばれていました。門扉の名前はその名残ですね。
元々、当初の計画ではもう少し北側の野母崎の権現山(ごんげんさん)に建設予定だったため、野母埼灯台と命名されていたのが、昭和28年(1953年)に改名されたようです。※初点灯は昭和7年(1932年)
塔高は15mの高さを誇り、見ごたえ十分の大型沿岸灯台です。
熱烈な灯台ファンである不動まゆうさんは著書『愛しの灯台100』の中で、樺島灯台を「バルコニーの手すりと灯ろう周りの柵のデザインに統一感があってお洒落」「換気口の丸穴など細かい部分の意匠にこだわりを感じる」などと評されています。確かに見るほどに美しい塔形。
灯台正面には見晴らし台もあり、特徴的な第3等フレネルレンズをそれなりの至近距離で見ることができます。灯ろう部がほぼ全開でとても美しいです。
灯台のすぐ前の見晴らし台から、さらに少し下った先は島の突端で、ほぼ視界全面を見渡せる場所まで出られます。
来た道を振り返ると、後ろには樺島灯台が見守っていました。夜間になるとどんな灯りを示すのかなと興味が沸きますが、ここに至る山道を夜通るのは少し危険かもしれませんので、訪問される際はくれぐれもご注意ください。
灯台併設の旧官舎は、現在では無料の灯台史料館となっています。色々と灯台関連の写真やランプなど置かれています。
樺島灯台の敷地図面なども詳しく掲載されていますね。この施設は「吏員退息所」に位置していますね。
中には海上保安庁の教科書のようなものも置かれていました。良いのでしょうか。
今回は灯台と桜を見たかったので、無事に見れて良かったです。
日日是灯台