レポ47:江埼灯台(2020/1/2)後編
古来より海上交通の要衝であった瀬戸内海。商いの中心地・大阪や外国貿易の盛んな神戸のほど近くで船人を見守る、小さくも大きな灯台を訪れました。
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ47:江埼灯台(2020/1/2)後編
寒空の下、かじかむ手をさすりながら迎えた正月早々の日没直後の17時過ぎ。世間は正月休みでも、灯台は変わらず淡々と仕事を始めます。
兵庫県淡路島の北部にある江埼(えさき)灯台も黄昏時から仕事開始です。
部埼灯台の灯質は「不動白赤互光 白5秒赤5秒」です。つまり、白色と赤色の光が交互に点灯しているように見える、ということです。
灯器部の左側(西側)には分孤もあります。分孤は常に赤色に光っており、分孤が見える位置は危険な岩礁地帯ということを指しています。
江埼灯台の場合は「鹿ノ瀬」と呼ばれる岩礁地帯がある方角を指し示しています。
時刻は17時半。夕陽は瀬戸内海に沈み、本格的な夜が訪れます。
江埼灯台は明治4年の初点灯ですが、当時は第1等反射鏡が使用されており、明治30 年に当時の部埼灯台(福岡県北九州市)で使用されていたレンズを移設されたとのこと。それだけフレネルレンズが貴重だということですね。
その移設されたレンズは第3等大型不動レンズだったのですが、闇夜に浮かび上がる姿は息を呑む美しさです。
暗闇の灯台シルエットは瀬戸内の航行を見護る騎士の頭部のようです。
その点灯姿は、夜の海の航行を見廻る覆面パトカーのサイレンの如し。
明石海峡大橋を走る自動車にも、灯台の存在を伝えていることでしょう。実際、対岸の舞子(まいこ)から淡路島へ渡る際には灯台がチラッと見えます。
月夜に照らされる灯台でしたが、帰り道は真っ暗な上、階段が非常に危なっかしいのでライトを持参して足元を照らしながらお帰りなるようにお気をつけください。
村上 記