レポ18:日立灯台(2019/4/28)
かつて水戸光圀が「日の立ち昇るところ領内一」と称えたことに由来する茨城県の日立(ひたち)。その由縁である太平洋の朝日を日立灯台とともに拝みに訪れました…
【参考:過去レポ】
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ18:日立灯台(2019/4/28)
今回、茨城県日立(ひたち)市にある日立灯台の朝日を拝みに行く、ということで灯台に最寄りのJR大甕(おおみか)駅に向かいました。
東京駅から特急ひたち号(いわき行)に乗車して揺られること約1時間30分。灯台は駅前の道を真っ直ぐ東へ歩いて15分程度で到着するため、宿は駅近くのホテルにして明け方に備えます。
明け方4時頃に起床。日の出はまだのはずですが、窓の外を見ると空が白んでいましたので、急いで現場へ急行します。空は薄っすら明るんできていましたが、灯台はまだまだ点灯中で安堵しました。
明け方頃だからか、花紺青の夜空と金色の灯火の光が際立っており、とても美しいシルエットに見惚れてしまいました。
灯台の眼下に降りると、太平洋の波打ち際に反射する暁光、対比される古房地鼻と灯台の陰影、そしてこれまた際立つ金色の光が幻想的でした。
元々、日立という地名の由来は水戸黄門で有名な水戸光圀が、日立地方を訪れ、海から昇る朝日の美しさに「日の立ち昇るところ領内一」と称えたという故事に由来すると云われているそうですが、納得の風景です。
前回訪問した時は夕暮れで、潮が満ちていましたが、朝方は干潮だからか古房地鼻の先端にある消波ブロックまで行くことが出来ました。
先端にはグルリと消波ブロックが設置され、太平洋からの波の威力を軽減しているようです。
おそらく消波ブロックで波の威力を軽減しなければ、岸壁が抉られて地形が変わってしまうのでしょう。地形が変わると灯台も後退移設しなければなくなります。
太平洋からの波濤の威力が凄まじいことは、消波ブロックの色を見ると分かります。高く積み上げられたブロックが、ほとんど波を被ってしまって黒に変色していました。
ようやく空も暖色に染まってきました。朝日に照らされ、灯台や古房地鼻は少し赤みがかった山吹色に染め上げられていきます。
ここで再び日立灯台のある古房地公園内へ戻ります。
防風林である松林の隙間から覗く日立灯台。
太平洋は波だけでなく風の強さも尋常ではなく、近くの松の木の傾き様を見れば、その猛威がいかに強大か物語っています。そんな強風の中でも凛と立ち続ける灯台の強さにもまた感銘を受けます。
この日の灯台はお月様と並び立つと、まるで対話しているようでした。
日中は家族連れで賑わう灯台も、夜から朝にかけてはひとり太平洋に向き合ってお仕事している姿を見れて、誇りに思う灯台が増えました。
村上 記