レポ13:安房埼灯台(2019/3/24)
三方を海に囲まれていることに由来する神奈川県の三浦半島。その南端にある城ヶ島の東の先っぽにある安房埼(あわさき)灯台。今回は遥か彼方の対岸に恋い焦がれる白亜の灯台を巡ります…
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ13:安房埼灯台(2019/3/24)
神奈川県三浦半島にある自然島、城ヶ島への陸路唯一の手段は、城ヶ島大橋を渡るしかありません。車・自転車・徒歩のいずれでも構いませんが、島へ渡るとすぐに県立城ヶ島公園入口があります。
一番最寄りの駐車場は有料ですが、少し手前の駐車場から歩いても余裕で着けます。
県立城ヶ島公園の入口。安房埼(あわさき)灯台は島の端っこの海辺に立つため、駐車場からは少しばかり歩きます。でも殆ど平地で広大な公園のため、子どもからお年寄りまで本当に沢山の人達が訪れていました。
道中、城ヶ島の猫たちものんびり寛いでいます。猫が多いのは豊かな漁場が近くにある証拠です。
安房埼灯台から一番近い第1展望台からの眺望。周囲を海や松林に囲まれた風光明媚なピクニック広場では休日を満喫している家族連れや外国人観光客で賑わっています。ようやく目標の灯台の姿を確認。
太平洋側に目をやると絶景のオーシャンビュー。遥か彼方に伊豆大島や伊豆半島も見えます。空気が澄んでいれば富士山も見えるとのこと。眼下では岩礁地帯で遊んでいる方たちもいます。
公園内から磯場へ降り立つ道を下っていくと、岩場を進んだ先、海岸線の端っこに対岸の千葉県南房総市(安房の国)を求めているかのように安房埼灯台が立っています。
人が映り込まずに灯台だけの写真撮影を試みましたが、休日はあまりに観光客が絶え間なく灯台を愛でているので止む無く断念。
灯台へは細いながらも道のようなものが出来ていました。海水面から灯火までの高さが13mしかなく、ほかの灯台に比べ人の目線に近いため親しみやすさも人一倍あります。
群青色の空と海、黒褐色の磯辺、白亜の灯台のコントラストが美しい。元々、安房(千葉)に向く岬ということで、安房埼灯台と呼ぶそうです。紛らわしいですね。
2019年4月に第三管区海上保安部より、安房埼灯台の建て替えが発表されました。くびれのある円筒形で特徴的なデザインが見られるのも残りわずかかもしれません。そう思うと非常に名残惜しいですね。
岩場は子供たちの格好の遊び場。たしかに大人でも少しテンションが上がりますね。
灯台からドンドン離れていくと観光客はめっきり減り、替わりに釣り人たちが増えてきました。釣り人たちの間でも人気のスポットのようです。
安房埼灯台の立つ太平洋沿岸は常に海からの風が吹き(冒頭の公園入口の松の木がみんな北へ曲がっているのはそのためです)、暴風時は灯台に近づけないほどの荒波だそうです。面白い形状の磯辺もその波に侵食されたのでしょう。そんな城ヶ島には地層研究家もよく足を運ぶんだとか。
しかし、城ヶ島本島自体は台地状で、天然の防波堤となっているため、本島の北側にある三崎港は昔から往来する船の風待ちの港にもなっていたそうです。
灯台好きぐらいにしか知られていないですが、安房埼灯台には「安房埼神楽高根照射灯」も併設されております。灯台正面の一つ目みたいなところから、約200m先の危険な浅瀬付近を暗くなると照らし続けます。
それほど危険な海水域を航行する船舶の安全を、昭和37年より護り続けてきた安房埼灯台。建て替えられるとしても、現在からの雄姿はずっと護り続けていきたいですね。
村上 記