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レポ87:長尾鼻灯台(2025/1/12)

鳥取県のほぼ中央にあたる、鳥取市の長尾鼻(ながおばな)。溶岩が海に流れて形成された突端に位置する灯台を訪れました。

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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

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◼️レポ87:長尾鼻灯台(2025/1/12)

今回訪問する長尾鼻(ながおはな※地名と異なり濁りません)灯台には、カーナビに灯台住所(鳥取県鳥取市青谷町青谷)を設定して向かいます。この時期は所々積雪や路面凍結しており車の運転注意です。

灯台に向かう道の入り口。
この先は少し狭いですが一本道です。

灯台に無事到着しました。既に釣り人らしき車が停まっています。観光なら駐車場代無料とのこと。※釣り、岩登り、仕事の写真撮影なら四輪車500円、二輪車200円(当日限り)

実際に訪問したのは明け方6:20頃

駐車場の脇には早速働いている長尾鼻灯台が目に入ります。灯台敷地内には入れないため、門越しに撮影。

旧官舎跡なのか敷地は凄く広く、灯台が遠いです

磯に降りる階段があり、灯台は日本海に向かって煌々と光を放っています。
※写真はスマホのカメラ機能で色調補正されていますが、実際はもう少し暗いです

立て看板には「長尾岬での磯釣りには古い昔から定められた規則があります。昔からの伝統を守り楽しい磯釣りをしてください」と書かれていました

元々、この長尾鼻は、火山活動で溶岩が日本海に流れ出して形成され、そこに日本海の激しい波で侵食できた崖である「海蝕崖」と呼ばれる地形です。
岬一帯は豊富な魚種から、磯釣りの名所として釣り人から人気があるそうです。

磯釣り案内図。文字は読めないかもしれませんが、
驚くほど細かく釣り場の名前が付けられています

磯に降りてみようとすると、下り階段から、辛うじて顔を出している灯台が撮影出来ました。
※磯の岩場を移動するのは危険を伴いますので、暗いうちは絶対に降りないでください。陽が昇り、明るくなってから降りるようにしましょう。

松の木々の合間から顔を出す長尾鼻灯台
日本海の荒波と轟音を鳴らす強風が凄まじい
天気が良ければ隠岐ノ島も見えるほど視界は広い
「坂ノ下入ツボ」という釣り場あたりからのアングル。
試した限り他の場所からは灯台が見えませんでした。
ちなみに磯の移動は、このような矢印誘導が頼り。
ホント、先人によるノウハウと配慮には脱帽。
この美しい池の名は「血染めヶ池」。怖い名の由来不明。
池の海側にある盛り上がった岩場の頂上には、
救命道具置き場が設置されています。
崩れてはいましたが中には救命胴衣が置かれている。
ちなみに本当に危ない場合は、
岩場に黄色で「キケン」の文字も書いてくれています

ちょっと途中から釣り場紹介みたいになったので、灯台訪問に戻ります。

時刻は7:30。元々の天気予報では曇りですが、幸いにも美しい朝陽が昇ります。

ちなみに駐車場は雪解け水でビシャビシャです

長尾鼻灯台は1953年(昭和28年)3月31日の初点灯で、塔高(塔の高さ)14m、灯高(平均海面から灯りまでの高さ)68mです。
オーソドックスな形状に見えて、灯室部分の遮光板(陸地方面に光が届かないように隠している)が兜のように角張っているのが特徴的です。

明るくなると官舎跡もよく分かりますね

明るくなったので、改めて磯に降りる階段からのアングルも眺めてみます。

このアングルだと灯室のデザインがよく分かる。
灯器の下部もマスクのように隠れておりカッコ良い。
灯台は官舎跡地からさらに高台に設置されている
長尾鼻の西側。夕陽が美しく臨めそう。

よーく見ると長尾岬の西側に白い防波堤灯台が見えます。折角なので併せて訪問することに。

長尾鼻から車で5分程度で到着。この一帯は「夏泊(なつどまり)海岸」と呼ばれ、長尾鼻の一部です。日本海で削られた複雑な岩礁を有し、サザエや岩ガキ、イカなどが豊富に生息していたので、海女漁が伝統的に行われていたとのこと。

ちょうど港から漁に出る船舶の時間でした
防波堤は立派な大きさで、
危険なので防波堤の上に上るのは禁止されていました。
灯台への階段も施錠されていました。

名前は「夏泊港北防波堤灯台」、1967年(昭和42年)初点灯です。

この灯台、ちょうど東経134.00度に位置します。
(だからと言って何もないのですが)

ちなみに地元の旧・青谷小学校の校歌には、長尾鼻灯台が歌詞に入っていたそうです。

「長尾岬に灯がともり/果てなく続く海原の/光ひとすじ/さすところ」(旧・青谷小学校校歌)

 海と灯台ニュース > 地元小学校の校歌にも歌われた灯台 若い世代との協力で魅力を再発見

岬のふもとにある、鳥取市立 青谷小学校


なお、長尾鼻灯台の灯質(光り方)は「単閃白光 毎8秒に1閃光」です。点灯動画も貼っておきますので、こちらも良ければご覧ください。

村上 記

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