レポ48:紀伊日ノ御埼灯台(2020/1/3)
紀伊(きい)半島西部に広がる紀伊水道。瀬戸内海の玄関口として重要な航路の門前の灯りとなっている歴史的灯台で明け方を迎えました。
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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。
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◼️レポ48:紀伊日ノ御埼灯台(2020/1/3)
紀伊(きい)半島は和歌山県、三重県、奈良県で構成される日本最大の半島です。
午前3時。紀伊半島最西端部の和歌山県日高(ひだか)郡日高町に到着しました。目的地は明治28年(1895年)に初点灯した紀伊日ノ御埼(きいひのみさき)灯台です。
「群閃白光 毎12秒に3閃光」の灯質が漆黒の闇夜を照らし、紀伊水道の入り口を指し示しています。灯台以外の灯りは周囲にはありません。
石造りの八角形の灯塔の陰影が闇夜に浮かび上がり美しいです。
午前6時半。日の出時刻が迫り、空が白んできました。紀伊日ノ御埼灯台は、紀伊水道から瀬戸内海への航路の出入口を示すため、日の出の方角からは背中を向けています。明け方に溶け込む白亜の灯台。
明るくなってきて、灯台が車道のすぐ脇に立っていることが分かります。この灯台と徳島県の蒲生田岬灯台を結ぶラインが瀬戸内海と定義されています。
灯台から道なりに道路を下ったら突き当たりになり、遊歩道は通行止めになっていました。手前には少しスペースがあり、今回はそこで車中泊し、夜を明かしました。
現在の紀伊日ノ御埼灯台は3代目で、初代が今より南西方向に建っていましたが戦争の空襲で全焼。2代目は120m東の隣町、美浜(みはま)町に建設されていましたが、地滑りの危険から2017年3月に現在地に建て替えられました。
灯台の足下には、初点灯記念プレートが展示されていました。
灯台のある一帯は煙樹(えんじゅ)海岸県立自然公園となっており、風光明媚な立地にあります。特にこの場所から見える瀬戸内海に沈む夕陽の景色が有名です。
灯塔が17mあり、灯台付近からは全体像を収めるのが難しいです。日が昇っても陰影が美しいですね。
ちなみに灯台への道の途中から、山の上の方への道を進むと古びたホテル廃墟施設に辿り着きます。入口には灯台モニュメントが置かれています。
このホテルの玄関口から左手に歩いて行くと途中で灯台を見下ろせるアングルがありました。
頂上には「紀伊半島最西端の地」の碑があります。
日ノ御埼と名のつく灯台は、島根県の歴史的灯台「出雲日御碕灯台」がありますが、紀伊日ノ御埼灯台もその名に違わぬ輝く太陽が似合う灯台でした。
村上 記