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レポ90:出雲日御碕灯台(2025/1/13)

島根半島の西端、島根県出雲市の日御碕(ひのみさき)にある出雲日御碕灯台。国の重要文化財にも登録された、日本で最も背が高い灯台を訪問しました。

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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

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◼️レポ90:出雲日御碕灯台(2025/1/13)

出雲日御碕(いずもひのみさき)灯台は、島根県出雲(いずも)市の北西端にあたる、島根半島の日御碕(ひのみさき)にあります。

今回は点灯シーンと明け方の灯台を見ようと夜間に移動しました。出雲は「日の沈む聖地」として日本遺産に登録されるくらい夕陽が有名ですが、人混みを避けるなら明け方に訪問するのがお勧めです。
 参考:日本遺産「日が沈む聖地 出雲」

灯台前の駐車場は24時間無料で駐車可能ですので、自動車で夜のうちに移動するか、付近のホテルや民宿などに宿泊する方法があります。

灯台の目の前に
星野リゾートが運営する「界 出雲」がある

駐車場から灯台の足下までは、100m程度の売店通りを通るか、反対側から遊歩道を歩くので、初訪問で夜間に行く方は地図などで事前に下調べをしておくのが良いと思います。

この日は到着前から少し雲行きが怪しくなっていたのですが、案の定、到着とほぼ同時に小雨が降ってきました。

灯台の灯り以外、ほぼ何も見えない状況…

暫く我慢して雨が止むのを待っていたら、運良く日の出ごろに雨が上がってきました。

出雲日御碕灯台の灯質は「複合群せん白赤互光」というユニークな光り方をするのですが、2024年12月13日に発生した落雷被害により、灯台機器内部の復旧工事が必要となりました。

そのため、訪問日の2025年1月13日現在でも復旧しておらず「群閃白光」に変更されていました。※実際の点灯シーン動画はこの記事の最後に貼っています

出雲日御碕灯台の左側で煌々と光っているのは
「出雲日御碕サカグリ照射灯」

曇り空ではありますが、それがかえって背の高い白亜の灯台と日御碕の景観と合わさり荘厳な雰囲気になっています。

出雲日御碕灯台の塔高は43.65m
北海道の稚内灯台(43m)を押さえて日本一の高さ

日御碕は日本海に面する島根半島のほぼ西端に位置しますが、降りるのが難しい断崖絶壁ではありません。
この日御碕は「隆起海食台地(りゅうきかいしょくだいち)」と呼ばれており、かつて海に沈んだ山が荒波で侵食されたのち、わずかに隆起して出来た地形です。そのため、海岸線との距離感が非常に近いです。

※注意事項※
出雲日御碕灯台近辺の岩場は、際限なく海際まで行けますが、日本海の荒波が激しく危険が伴いますので安全にはくれぐれもご注意ください!!

出雲日御碕灯台の灯高(海抜から灯火)は63.3m
曇天の日本海は甚だしく荒れている模様
日御碕の柱状節理(1600万年前の溶岩が冷却収縮)
全域が「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」に含まれる

出雲日御碕灯台は、1899年(明治32年)に浜田・境の両港が開港場に指定され、外国貿易が活発化した事に伴い、 大型沿岸灯台設置の必要性が高まったために建設されたものです。

「日本の灯台の父」リチャード・ヘンリー・ブラントン氏の二重円筒構造を参考に、日本人灯台技師である石橋絢彦(いしばしあやひこ)氏の手で設計され、翌年1900年から着工、3年あまりの歳月をかけて建設され1903年(明治36年)4月1日に初点灯を迎えました。

以来、120年以上、変わらず海の安全を見守り続けています。この石造積層の累積技術の高さから「日本人技師が手掛けた石造灯台の到達点」とも評価されています。

真っ白な外壁は、松江市美保関町(八束郡森山)で切り出された硬質の石材、内壁はレンガ造りで、外壁と内壁の間に空間を作った特殊な二重構造になっています。

明け方のマジックアワーの灯台は必見

今回、日の出が拝めませんでした。以前訪問した時の出雲日御碕灯台は以下のような美しさを誇りますので参考までに掲載しておきます。

2018年7月 明け方撮影

出雲日御碕灯台は全国に16基ある「のぼれる灯台」なのですが、この日は昨年末の12月に発生した落雷被害で、参観業務は中止になっていました。

 参考:燈光会 のぼれる灯台16 出雲日御碕灯台


…ということで、周辺散策に力を入れます。

灯台をぐるりと一周できる遊歩道
灯台北部は「出雲松島」と呼ばれる景勝地
大小さまざまな島と、奇岩が連なります
2018年7月 明け方撮影(日の出が美しい)

出雲日御碕灯台は2022年2月9日には美保関灯台、江埼灯台とともに国の重要文化財に指定されました。

出雲日御碕灯台のレンズは、日本に5基しかない「第一等フレネルレンズ」が設置された貴重な現役灯台です。ただ前述の落雷被害で復旧中。

下から見上げてもレンズの様子は不明
一瞬の雲の切れ間で青空と灯台

一通り灯台周辺を歩き回ったので、日御碕神社方面(海岸線沿いに灯台の南側)に歩きます。

島根半島・宍道湖中海ジオパーク域内で、日本海側の非常に変化に富んだ地形や自然を堪能出来るので、子連れでもかなり楽しめると思います。

一帯の地形がとにかく面白く、ガンガン触れられます

見晴し台からは、ウミネコ繁殖地である経島(ふみしま)を臨むことができます。

少し開けた場所にある見晴し台
中央に見えるのが経島(ふみしま)
島全体が国の天然記念物に指定されている
日本海の荒波のスケールを体感出来る
経島近くの防波堤上からの景色
出雲のマンホール
経島ウミネコと日御碕灯台がモデル

なお、灯台の話ばかりでしたが、出雲日御碕灯台に至るまでの道のりには、「出雲大社(いずもおおやしろ)」と「日御碕(ひのみさき)神社」という有名な神社がありますので、灯台訪問と併せて参拝されることをお勧めしておきます。

十月に全国の神様が集まる出雲大社

ちなみに出雲大社の祭神は大国主神(オオクニヌシノミコト)で、親しみのある呼び名では七福神の「だいこく様」です。

出雲大社の「だいこく様」と美保神社の「えびす様」を参拝することを「えびす・だいこく両参り」と呼びます。正式には親神様である、だいこく様(出雲大社)から参拝するそうです。

つまり、出雲日御碕灯台(出雲大社)と美保関灯台(美保神社)の順番で訪問するの良い、ということです。

 参考:島根半島四十二浦巡り 出雲大社

出雲大社の拝殿

日御碕神社は出雲日御碕灯台に向かう途中のルートから、横道に入ったところにあります。灯台から歩いて30分程度の距離です。

日御碕神社は、島根半島西端に位置しており、ご祭神は天照大神(アマテラスオオミカミ)と須佐之男命(スサノオノミコト)となります。

伊勢神宮が「日の本の昼を司る」のに対し、日御碕神社は、「日の本の夜を司る」とされている、といいます。
 参考:島根半島四十二浦巡り 日御碕神社

日御碕神社の「日沉宮(ひしずみのみや)」

今回は灯台に登ることが出来ませんでしたが、曇天での灯台巡りというのもオツなもの。また必ず再訪したいと思います。

最後に、日本海の風の轟音入りの点灯動画を貼っておきます。調べた変更後灯台質を書いていますが少し違う気がする。また修正するかもしれません。

村上 記

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続・灯台護(とうだいもり)プロジェクト
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