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「全然大丈夫」「全然良い」は間違いか? 下らないニュース解説番外編 その74

新年度が始まり、はやくも嫌気がさしている人もいるであろう今日このごろ。
私の半生を振り返っても、自由があった大学時代を除けば、学校生活や会社生活なんて基本懲役刑みたいなものだったからね、しょうがないね。

こう考えてみると、生まれてくること自体が「罪」のような気がしなくもないのですが、そんな今日このごろのニュースはこちら。

いつのネタだよという話のニュースですが、「全然+肯定文」なんてOKに決まっているだろう、「言葉の乱れが~」とかいって批判するアホ共は縄文時代の言葉でも喋ってろ、というのが第一印象。

言葉なんて時代によって変化するというのは当然のことだし、そんなの『基礎英文問題精講』にも載っている常識じゃありませんか。

この『基礎英文問題精講』、東大受験の時に用いて英語の点数向上(センター試験満点)に大いに役立ったので、受験生の皆は買おう。

あと本書の中で印象的だったのは、倒置法をやたら多用しているアインシュタインの文章で、スターウォーズのヨーダが倒置法を多用するのもアインシュタインを真似たんだろうなあ、などと思うし実際そうなのでしょう。

話を元に戻すと、ニュース中に太宰の名が出ているのでついでに言わせてもらうと、
以前、「ムカつく」という言葉について、若者はすぐムカつくという言葉を使う、そんなに胃が悪いのか何だと槍玉に上げられたことがありますが、

「私ね、さっき本屋へ行ったのよ。そうしてこれを買って来たの。あなたのお名前も出ていてよ。」
 ふところから、新刊の文芸雑誌を出して、パラパラ頁を繰って、その、僕の名前の出ているところを捜している様子である。
「やめろ!」
 こらえ切れず、僕は怒声を発した。打ち据えてやりたいくらいの憎悪を感じた。
「そんなものを、読むもんじゃない。わかりやしないよ、お前には。何だってまた、そんなものを買って来るんだい。無駄だよ。」
「あら、だって、あなたのお名前が。」
「それじゃ、お前は、僕の名前の出ている本を、全部片っ端から買い集めることが出来るかい。出来やしないだろう。」
 へんな論理であったが、僕はムカついて、たまらなかった。その雑誌は、僕のところにも恵送せられて来ていたのであるが、それには僕の小説を、それこそ、クソミソに非難している論文が載っているのを僕は知っているのだ。

太宰治『眉山』

このように、戦後間もない時期には既に「ムカつく」という言葉が「頭にくる」「イライラする」とほぼ同義で使われており、批判する連中の方が物事を知らないだけだった、という話であります。

こんな感じの「社会」でありますが、こういう社会において正論を叫んでも何の利益にもならず、逆恨みされたり疎んじられたりするだけなので、「ハイハイそうですね」で済ませておくのがコミュニケーション能力()というやつなのです。

新入社員諸君や新学期の学生諸君は覚えておくように。

以上、続きで書きたいことあるけど、長くなるため分けて書きたく今回はここまで。

次のニュースに続く。