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完全解説『ニューアース』

はじめに

この記事は2018年から2019年にかけて書いた「解説『ニューアース』完全版」のリニューアル記事となります。

何が「完全版」なんだというと、第1章の最初から第10章のラストまで、一節ずつ解説しているところ。再まとめの記事なので元記事と大体同じですが、この度リニューアルするにあたり、以下のことを実施しました。

・当時は実感が曖昧だった箇所について、少々書き直しました。
・読み直してみて分かりにくい箇所を少々書き直し、読みやすくしました。
・他の年に書いた解説文も少し付け加えました。
・こちら、12万1千文字となっております。

この記事と『ニューアース』を、スマホと紙の書籍、またはスマホとタブレットみたいな感じで並べて読めば、あの難解かつ抽象的な『ニューアース』も、多少は分かるという寸法になっております。

『ニューアース』概要

まずはニューアース全体の概要は以下の通り。

1章『The Flowering of Human Consciousness』:人間が忘れている本質(意識)。本書の目的や使い方について。あなたが陥っている狂気の現状と目覚めの必要性。新しい天と新しい地。
2章『Ego: The Current State of Humanity』:言葉の限界。思考とエゴについての説明。「モノ、所有、身体」といった物理的物質的な形とエゴについて。忘れられた本質と形の崩壊による安らぎ。
3章『The Core of Ego』:エゴの構造。「不満、恨み、反応、怨恨、防御、闘い、優越感、名声」といった精神的心理的な形とエゴについて。真のアイデンティティ。
4章『Role-Playing: The Many Faces of the Ego』:「悪人、恋人、被害者、自己の定義、役割、不満、親子、仕事」といった人間関係、社会構造という形とエゴについて。病気や集団という形とエゴについて。私という生命について。
5章『The Pain-Body』:感情とペインボディについて。
6章『Breaking Free』:ペインボディからの解放について。
7章『Finding Who You Truly Are』:「真の自己」について色々。
8章『The Discovery of Inner Space』:インナースペース、空間、Stillnessという本質について。
9章『Your Inner Purpose』:意識の状態と外部の目的の結合について。
10章『A New Earth』:誕生から死までのサイクルと目覚め。目覚めた行動3つ。目覚めたらどうなるか。締めの言葉。

ということで、もっと簡単に書くと

1章はツカミと本書の説明書、2章3章4章はエゴの説明書、5章6章はペインボディの説明書、7章8章は本質かつ真理である「目覚めた意識(真我、本当の私、神、宇宙etc.呼び方は何でもOK)」の説明書、9章10章は目覚めと行動との和合の説明書

といった内容になっており、

「エゴに気付く→ペインボディに気付く→意識が意識それ自身に気付いて目覚める→目覚めた意識をこの物質世界と調和させて新しい地の発現」

という流れになっています。

日本語版と英語の原文の違い

次に、サイトで何度も書いておりますが、日本語版『ニューアース』と英語の原文の違いについてですが、多少の誤訳および抜けはあるものの、ほぼきちんと訳されているという印象です。

日本語版の誤訳2箇所

まず誤訳ですが、これは2箇所で、本当に2箇所なのか、それとも私が実力不足で他に見つけられなかったのかは不明です。

1つ目はAmazonのレビューにも書かれているので有名でしょうが、10章の一発目で「Astronomers」を「宇宙飛行士」と訳しているところ。これだとガリレオやコペルニクスやケプラーも「宇宙飛行士」になっちゃうよ〜

2つ目はP.62(英語版のページ数)、3章「不満と怒り」の項で、「不満より下のレベルになると怒鳴ったり叫んだり、そして…」の直後の箇所。
日本語版では「さらに”ずっと下に”物理的(身体的)暴力がある」と書かれているのですが、英語版だと「ずっと下に」の部分が「not much below that」となっているのです。

「物理的暴力というものは、怒鳴ったり叫んだりのレベルに近いかどうか」ということなのですが、日本語版みたいに、暴力が怒鳴ったり叫んだりの「ずっと下」にあるならば、こんなに世の中に暴力が蔓延することはないはずです。
要は、「ずっと下に」ではなく、「ちょっと下に」ということで、これも誤訳でしょう。

日本語版の抜け3箇所

お次は、英語版にはあるけれど日本語訳版には無い、「抜け」の部分について。こちらは3箇所。本当はもっとあるかもしれない。

まず1章の「人類の無意識を最初に発見したのはブッダことゴータマ・シッダールタである」の後に、英語版では「ブッダとは”目覚めた人”の意味である」という一文があるのですが、日本人ならこれくらいは知っているだろうから、まぁ良いでしょう。

看過できないのは残りの2箇所で、

まずP.267(英語版)、9章の対話部分において「私は、自分では何もできない」というイエスの言葉が出てきますが、英語版だとその言葉の前に
「It is not I but the Father within me who does the works.(事を成すのは私ではなく私の中の父である)」
という言葉があります。

つまり英語版をそのまま訳すと、「私ではなく私の中の父が事を成す。私は、自分では何もできない」となり、どういう意図で前段を抜かしたのか、さっぱり理解できません。前半がヨハネ福音書14章10節、後半がヨハネ福音書5章30節の言葉なので、直接はつながっていないから?

極めつけは8章ニ節で、

「あなたは自分の”存在”を感じることができますか?」(”Can you feel your own Presence?”)と、「何かの出来事や人や状況に動揺するとき…」の間に、以下のような1段落があり、日本語版ではそれが丸々抜けているではありませんか!

Space consciousness represents not only freedom from ego, but also from dependency on the things of this world, from materialism and materiality. It is the spiritual dimension which alone can give transcendent and true meaning to this world.

私のヘボ訳:「空間の意識は、エゴからの解放だけでなく、この世界における物質や形への依存、物質主義、そして物質性からの解放をも意味する。空間の意識は、この世界に超越と真の意味をもたらすことのできる、唯一の精神的特性(次元)である」

なんで一段落丸々すっ飛ばしたの?

以上のように、誤訳2つ、抜け3つありますが、まあ日本語版だけでも良いと思います。英語が多少はできる人は英語版も読んだ方が、著者の言わんと欲することがダイレクトに伝わってきてええとは思うけど。

そんなわけで、第1章一節からはじめていきましょう。

1章一節 花、開く Evocation

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