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「ないんだったら自分で作ればいい」ジェムファンの推し事

アイドルグループ「GEMS COMPANY」(ジェムズカンパニー、通称ジェムカン)のファンによる推し事(ファン活動)について。

GEMS COMPANYとは?

2018年8月18日、ニコニコ生放送にて配信された「【スクエニ新PJ】齊藤Pのゲームではないナニカをお披露目する放送。」という番組の中で、スクウェア・エニックスとディアステージがプロデュースする新しいアイドルグループ「GEMS COMPANY」(通称ジェムカン)の活動開始が発表されました。

番組のタイトルでもあるように、日本を代表するゲームメーカーの一つとして数えられるスクウェア・エニックスでドラゴンクエストシリーズなどのゲームタイトルに携わってきた齊藤陽介氏が、新たにアイドルをプロデュースするという発表には私も含めて多くの驚きの声がありました。

GEMS COMPANYはディアステージに所属するアイドルグループです。お披露目放送以前からYouTubeやTwitterで個々の活動をしていた珠根うた、星菜日向夏、奈日抽ねね、有栖川レイカ、音羽雫、城乃柚希、水科葵、長谷みこと、赤羽ユキノ、一文字マヤ、花菱撫子の11名に、追加オーディションで加入した桃丸ねくとを加えた12人で活動をしております。彼女たちの始まりのストーリーはこちらの動画にて分かりやすくまとめられています。

GEMS COMPANY結成後の彼女たちは個々の活動に加えて、バラエティ番組「じぇむかんTV」「VRadio~JAM GEM JUMP!!!~」への出演、グループ内ユニットでのオリジナル楽曲発表など、ジェムカンとしての活動もこなしていくようになります。

特にMONACAのクリエーターが提供するオリジナル楽曲の完成度の高さとMVの映像の作り込みの細かさには、新曲の公開の度にファンとして驚かされ続けています。

そして、2019年6月28日(金)、29日(土)、30日(日)という日程で行われたジェムカンとして初めてのワンマンライブ『GEMS COMPANY 1st LIVE「Magic Box」』は全公演チケット完売という盛況で、彼女たち12人の成長を感じられた舞台に仕上がっておりました。これからのジェムカンと彼女たちそれぞれの活躍と成長にも期待が膨らみます。

ジェムファンの推し事

ジェムカンに限らず、自分が好きになったモノやコト(推し)について何らかの形で好きを表現したいという衝動はファン心理として必ずあるものだと思っていますし、作り手や演者の側でも活動に対する反応は励みとなるものです。

一口に「推し事」と言っても、推しに対する好きの表現の仕方は様々あります。ジェムカンの場合、彼女たちの主な活動はYouTubeやniconicoでの動画配信や投稿なので、ジェムカンのファン(ジェムファン)としては例えば次のような推し方が考えられます。

・配信や動画を視聴する
・チャンネル登録をする
・高評価をつける(YouTube)
・マイリストを作る
・タイムシフト予約をする(niconico)
・コメントを書く
・スーパーチャットを送る(YouTube)
・広告やギフトを送る(niconico)

動画の再生回数やチャンネルの登録者数など、数字でコンテンツへの評価やタレントの人気度がリアルタイムに可視化されるのは、動画配信というプラットフォームがもたらした画期的な仕組みでありシビアな世界であるとも言えます。もちろん、数字だけでコンテンツの面白さを必ずしも測れるものではありませんが、まずは存在を知ってもらわなければ見てもらえることもなく、面白いかどうかの判断も出来ないのです。

チャットやコメントなど双方向のコミュニケーションが可能な点も、動画配信の面白さを支える重要な要素であると言えます。ファンの側は推しと対話できる充足感を、配信者側はコンテンツについての生の反応をそれぞれ得ることができます。

動画配信者の活動はプラットフォーム上だけで完結するものではありません。SNSも積極的に活用することでファンとの繋がりをより高めています。主にTwitterを活用しているジェムカンの推し方もいくつか挙げられます。

・活動の宣伝を行う
・活動の感想を書く
・フォローする
・リツイートやいいねをつける
・イラストを描く
・小説を書く
・グッズを作る

ジェムカンの動画が公開される、配信が行われるといったツイートを書いたりRTするだけでも、自分がTwitterで繋がっている他の人へ情報が伝わります。目に見える形で呟くことで配信に向けて自分自身の気持ちと期待を高める効果もあります。また、配信の感想を書くことでジェムファン同士の繋がりが生まれたり、メンバー自身も積極的にエゴサーチを行いファンの発言を見ていることを公言しているので、ここでも生の反応をやり取りすることができます。

メンバーのイラストを描いたりグッズを作ったり自分の好きを形にすることで推しへの気持ちをより高めることもできます。ジェムカンは公式サイトで二次創作についてのガイドラインを公開しており、ファン活動に寛容な考え方を持っている運営体制なのがよくわかります。

ジェムカンの活動は配信やSNSだけに留まりません。企業とのコラボレーション企画やオフラインのイベントでも彼女たちの活躍に触れることができます。

・イベントへ参加する
・関連商品を買う
・ファンレターを書く
・聖地巡礼
・オフ会を行う

ジェムカンのメンバーが出演するイベントへの参加や商品の購入は、リアルの行動で分かりやすく示せる推し事と言えるでしょう。ジェムカンはディアステージに所属しているアイドルグループなので、事務所宛てにファンレターを送ることもできます。メールやSNSで交流を済ませてしまい日常で手紙を書く機会の少なくなった令和の時代にあって、推しへの想いを手書きでダイレクトに伝えられる感覚は非日常のワクワク感でもあるのかもしれません。
※ディアステージ所属のアーティストへ送ることが可能なのは「ファンレター」のみです。それ以外のプレゼントは渡せません。

ジェムカンメンバーが訪れた場所や縁のある場所へ実際に足を運んでみる聖地巡礼や、ジェムファン同士が集まってジェムカンについて語り合うオフ会には、推しへの気持ちやファン同士の繋がりを深める効果があります。

ないんだったら自分で作ればいい

GEMS COMPANYはスクウェア・エニックスがプロデュースしてディアステージに所属してMONACAが楽曲を提供するアイドルグループです。ビッグネームが連なるプロジェクトですが、スクエニもディアステもMONACAもその他ジェムカンに関わっている企業やスタッフも、ジェムカンだけが仕事ではありません。それぞれジェムカンのために一部のリソースを割いて、その中でプロジェクトの運営が行われています。

2018年8月にジェムカンとして活動を開始したものの、最初はグループの公式サイトすら開設されておらず、日々の活動の告知も決して充分なものではありませんでした。決して潤沢では無い人員の体制で回しているように外からは見えたジェムカンは、新しくて面白いことをやっているのにそれを広めていくことがなかなか出来ていなかったことに、私もファンとして正直もどかしい気持ちがありました。

Twitterでジェムファンを見ていて感じた、ジェムファンのもどかしく思っていたもう一つの部分は、ファンが公式側へお金を落とせるものが無かったことです。ジェムカンの公式グッズは2019年1月に発売されためざしパーカーまで待つことになり、ジェムカン名義のCDは先日のワンマンライブでようやく手にすることができたのです。

ファンは推しへの好きを日常でも表現できるアイテムが欲しいのに、公式グッズはなかなか形にならない。飢餓感とでも言えそうな強烈な欲求の高まりから、ジェムファンの気持ちはここに至ったのではないかと思う一つの好きな言葉があります。

「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」
(涼宮ハルヒの憂鬱 より)

ジェムファンの創作活動は、まさに部活が無いのなら作ってしまえとSOS団を作ってしまった涼宮ハルヒのような行動力で加速していくのです。アクスタやカンバッジ、Tシャツなどジェムカンのグッズを作る波はTwitterで広がっていき、気が付けば私もその波に乗っていました。

そして6月のワンマンライブの会場ではジェムファンによる多種多様なファングッズが溢れていました。二次創作に理解のあるジェムカンの運営体制も寄与しているであろう、ジェムファンの文化祭とでも言い表せそうな光景にファンの熱を感じました。

ジェムファンがいろいろ作った推し事まとめはこちらが捗ります。

スクウェア・エニックスでコンセプトアートを描くお仕事に携わっていて、先日のジェムカンのライブにも来場されていた深萱和弘氏が、Twitterでこのような呟きをされているのを見かけました。

深萱氏といえば、DQ11Sのボイスドラマオーディションの合格者発表でジェムカンメンバー宛てのお祝いのイラストを描かれていました。

ジェムカンに限らず、二次創作に込められたファンの愛の深さは、恐ろしいほどの密度で形になることがままあります。企画から製造、販売まで一般的に数か月の工程を経る公式グッズは、個人が衝動と熱意の冷めぬうちに作り上げてしまう二次創作グッズに速さではもはや敵いません。

もちろん公式でしか出来ない仕事もあります。ワンマンライブの会場で、グッズ販売ブースには長蛇の列が出来ていました。ジェムファンはジェムカンの公式グッズをひたすら求めていて、買いたいと願い続けていたのです。公式でカバーしきれない欲求を補完している二次創作という関係が成立していたのは面白いものでした。

ジェムカンの初めてのワンマンライブに参加をしてみて、ジェムファンの推し事の熱量と、それを見守っていた公式の関係に、ジェムカン界隈の優しさと温かさを改めて強く感じました。

「ジェムカンはいいぞ」


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戸田ささめ
テレビゲームが好きだった人。今もこれからも好きであろう人。