東南アジア旅行ふり返り#11 ルアンパバーンからハノイの長距離バスに乗ったら30時間もかかってしまった【後編】
前回からの続きです。
前編はこちら
国境でまさかの5時間待ち!
早朝に到着したため、国境のイミグレーションはまだ空いていないようでした。
しばらく待ってからラオスで出国手続きを済ませて、ベトナムでの入国手続きをします。
バスの乗客の手続きは、問題も起こらず全員スムーズに終わったようです。
でも、待てども待てども乗ってきたバスがベトナムの国境を超えてきません。
「ここは日本じゃないかならな。」とおおらかな気持ちで待っていましたが、2時間くらい過ぎたあたりから何かおかしいと思い始めました。
私たちは国境に一番乗りで到着したのに、まだ国境を出発できません。
でも私たちより遅く到着したバスや人々は、国境で手続きを超えてどんどん出発していきます。
どうやら私たちが出発できない原因はバスにあるようです。
バスの関税やら税金関係の書類に不手際があって、なかなか国境を超えられないようです。
バスはベトナムの国境まで進んできたかと思えば、バックしてラオスに戻っていく・・・というのを何度も繰り返していました。
その様子を見ながらバスの乗客は全員、何度も期待と失望の繰り返しに悩まされていたと思います。笑
バスの乗客に1人、英語の堪能なベトナム人の大学生がいました。
彼は何かと私たち旅行者とバスの運転手との架け橋になってくれていました。
このバスに乗り慣れている彼は、待つことに疲れ切っていた私たち旅行者を近くの食堂に連れて行ってくれました。
地元の人でなければ見つけられないであろう食堂に行って、全員ヌードルを作ってもらいました。
ベトナム人の大学生は特に不安そうな様子もなく楽しそうに過ごしていますが、私たちと他の西洋人の旅行者は全員クタクタです。
この後どうなるか分からないのに何もできない不安と疲れで、ひとつのテーブルに座っていたのに、全員無言で下を向いてヌードルを食べたことは今になってもすごく印象に残っています。
5時間ほど待って、ようやくバスがベトナムに入国しました。
もしかしたらバスはこのままラオスに帰ってしまって、私たちは国境にとり残されてしまうんじゃないかとさえ思い始めていたので、出発してくれただけで最高に嬉しかったです。
不満な気持ちはひとつもありませんでした。
何度も不安を乗り越えて、自分が成長できたような気持ちになる
ようやくバスがハノイに向かって走り出しました。
もう5時間も遅れているのに、「私たちは今からハノイに行けるんだ」というのが分かったので、ただただありがたい気持ちでした。
同じことが日本で起こったら、私も世間も大変なことになりそうなので、この海外の空気感はすごいなと少し羨ましくなります。
バスに乗る前からのあらゆる不安を乗りきって、国境での不安な時間も過ごしたので、この数日は、勝手に自分の中でかなり沢山の不安を味わい尽くした気分です。
だんだんと「不安」という感情にうんざりしてきて、「もう身を任せれば良いんだ。」というようなある種の悟りのような状態に至ることができました。
「どれだけ不安を抱えたとしても、自分では周りの状況をコントロールすることはできない。だからただ身を任せるしかないんだ。」と、前から知っているはずの事実が深く自分に刺さってきました。
日常生活の中ではなかなか辿り着けない状態なので、この時に思ったことは忘れないでおこうと強く思いました。
きっとまたすぐに、私は不安を集めてしまうだろうから。
途中で突然のバス乗り換え
自分の成長に酔いしれながらバスに乗っていると、大きな国道の途中でバスが突然止まります。
英語の堪能なベトナム人の学生から、私たち旅行者全員に「バスを乗り換えるから降りて。」とアナウンスがありました。
彼は偶然乗り合わせただけの乗客なのに、バスの運転手と私たち旅行者の通訳者として欠かせない存在になっていました。
バスを降りると前にもう一台バスが停車していたので、自分の荷物を持って乗り換えるように言われました。
「こんな車がビュンビュン行き交う道の途中で乗り換えるなんて・・・。」と思いながら自分の荷物を取りに行ったら、私のリュックだけ見当たりません。
乗ってきたバスの荷物置き場のどこを探しても見つかりません。
「早くバスを乗り換えろ!」という煽りがすごいので、一瞬にして焦りがピークに達します。
さっきまで悟りの境地にいたのに、何ともあっけないものです。笑
異変に気づいたベトナム人大学生も、一緒に荷物を探してくれました。
彼のおかげですぐに私の荷物が見つかりました。
私の荷物はすでに次のバスに移されていたのです。
もう何だかよく分からないグチャグチャの気持ちでした。
でも、ベトナム人大学生の彼は最後まで本当に気の良い人だったということが、ひとつだけ分かりました。
ずっと笑顔の彼は私たち旅行者全員が疲れきっていたときも、その空気に巻き込まれずに楽しそうに過ごしていました。
彼とはほとんどコミュニケーションを取らずに終わってしまいましたが、多分この先もずっと私の心に残り続ける人になると思います。
名前すら聞かずに終わってしまったことが悔やまれます。
彼は乗り換えをせずに、乗ってきたバスにそのまま乗って別の方向に向かうようです。
最後に彼に感謝と共に「あなたは本当に良い人だね!!」と伝えられたことが、私の心残りを軽くしてくれています。
ついに、やっとハノイに到着!!
ベトナムに入国してから道沿いにずっと国旗が掲げてあるので、バスに乗っていてもよく目に入ってきました。
ベトナムの国旗は赤地の真ん中に星。
陸路で国境を越えるというのは貴重な経験なのですが、今回もラオスからベトナムへ国境を越えたらすぐに雰囲気がガラリと変わりました。
真っ赤な国旗が道沿いにずっと掲げてあるものだから、それを見ているだけでエネルギッシュさが伝わってきます。
そうして外を眺めているうちに街の規模がどんどん大きくなってきました。
そして、ついにハノイのバスターミナルに到着しました!
30時間もかかった長い長いバス旅がようやく終わりました。
心も身体もクタクタです。
でもこれからまたバスで移動して、宿にチェックインもしなければいけないので、もうひと頑張りです。
ちなみに、もしまた同じような長距離バスに乗る機会があったら、次は今回よりも大きな気持ちで過ごせると思います。
感情のジェットコースターを味わってクタクタに疲れましたが、スリーピングタイプのバスは意外と快適でした。
日本の夜行バスにもあんなタイプが増えたら良いのに、とも思うくらいです。
クタクタに疲れているはずなのに、ハノイの活気のある明るい雰囲気に何だか気分が高揚してきました。
国旗の赤色が表すように、ベトナムは活気のあるエネルギッシュな国の様子を感じました。
ワクワクします。
2ヶ月間の旅行の最後の街、ハノイを楽しみたいと思います!
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