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【難病のこと】エーラス・ダンロス症候群② 父のこと

題目の通りなのですが、私のこの疾患がわかったきっかけは父の存在でした。
どういった経緯で私がこの疾患にたどり着いたのか、記したいと思います。

昔から父は

私は身長が173センチ近くあるのですが、それはおそらく両親の影響だと思われます。
母は163センチ。大きいといえば大きいけれど、今ではこのくらいの人も多くいるかと思います。
それに対して父は181センチ、大きい方です。
普段から頭ひとつ周りから飛び出ている感じでした。

不思議なのですが、私の父方の祖父は小さい人だったので160センチ少し超えているくらいしかなく、父方祖母も150センチ台の人で、決して大きな家柄ではないはずです。
祖父の兄弟、祖母の兄弟ともに身長が大きい人はあまりおらずのなか父は1人ずば抜けて大きい人でした。
そして骨格も、祖父母、祖父母の兄弟ともに良い方だと思うのですが、父は骨格が細く長い印象でした。
手足が長く、鼻筋が通っているところも、親戚の中で似た様な人がいませんでした。
父には兄弟がいないため、そことは比較ができないのですが、身近な人に父に似た雰囲気の人がいないなぁと、私は子供心に思っていました。

さらに肌もものすごく白くて赤っぽい感じの人でした。
そこもその肌艶の人が親戚にいません。
色白で細くていいねなんて親戚には言われていて、その時は父の体質なのだろうとしか思っていませんでした。

父のもう一つ記憶している特徴としては、関節が柔らかいことでした。
男性ですが股関節が柔らかく、胡座も余裕で両方の足裏をつけて膝が床にピッタリついたり、休んでいる時に足を複雑に組んでいたり…
異様な柔らかさを子供ながらに覚えていますし、自分もできるといって一緒にやっていました(そのくらい私も関節が柔らかいです)。

大学で学んだ時に


看護の道に進み、医療系なのでもちろん病態生理も学びます。
私は幼い頃から変わり者で、家庭の医学という病気の辞書のようなものをみるのが好きでした。

それは、病態生理の教科書をみたり本を読んだりしていたときのことです。
「マルファン症候群」という疾患が目に入りました。
背が高く、細長く筋肉がつきにくく、目が悪く、皮膚が弱い…
読んだ時に、あれ?なんだか自分と父のようだなと感じました。
ですが、それにしても側湾症の指摘はされたことがないし、今まで一度もその部分を疑われたことはありませんでした。

思い違いか。

その時はそう思い、素通りしてしまいました。

父が倒れた時

2018年2月、父がくも膜下出血で倒れます。
前交通動脈(目の近くの前頭葉部分の血管)の脳動脈瘤破裂が原因でしたが、のちに動脈瘤が他にもできている多発性であることがわかりました。

その時私は横浜の病院に勤めており、直接医師から聞いたのは母だったのですが
医師から、多発性の動脈瘤の場合は家族性であることが多いためお子さんたちは定期的に調べた方がよいと言われたとのこと。

新幹線の中で上記内容のLINEを目にした時、家族性という言葉の重みを実感しました。
しかも血管系、いつどうなるかわからない。
医療者の端くれである自分は、色々なことが頭をよぎりました。
家族性という事実、脳動脈瘤との関係性、遺伝的要素…
この時はまだ自分の疾患との結びつきは考えていませんでしたが、少しずつ遺伝性の脳動脈瘤について調べていくきっかけになりました。
(私は現在3年に1度、MRIで脳血管を調べています。)

なんだかおかしい

父が倒れてから、家族性の脳動脈瘤について調べる機会が増えました。
多発性の脳動脈瘤がある人は腎臓や肝臓にも嚢胞があることが多い情報を得たりしましたが、なんだかしっくりくる情報は得られず…
その時に何気なく目にしたものが、結合組織疾患の情報でした。
その情報を見たときに、ハッと「マルファン症候群」のことが頭の中に浮かびました。

「私、大学時代に一度この病気を疑っていたじゃないか。」

そういえば父も背が高い、細長い、関節が柔らかい、皮膚が弱い、極度の近視…
しかも動脈瘤ができる原因に生活習慣があり、父はヘビースモーカーの常用飲酒者で、倒れる前から糖尿病と高血圧の診断がありました。
薬で調整していたにしても、多発で動脈瘤ができるほど生活習慣病のコントロールがつかなかった訳ではないのではないか。
もしかすると元々血管が弱かったところに生活習慣が災いして、脳動脈瘤破裂に至るまでの経緯になったのではないか…(推測なので実際はわかりません)。

そう思ってからは結合組織疾患の情報を見ていきました。
インターネット、SNS…
すでに自分の体の痛みや、手首を痛めてから長らく治らないことなど不調が明らかに出始めており、リウマチか?(祖母がリウマチのため)なんて思ったりしていましたが、上記疾患も怪しいなと思うようになりました。
もちろん鑑別のための指針も、マルファン症候群にもエーラス・ダンロス症候群にもあります。
ですが、自分で疑いかかってみても、はっきりしない項目もあり…
しかも遺伝性疾患あるあるだと思うのですが、その人によって個人差が大きいことも特徴であり、これはもうすでに自分で判断することはできないと思いました。
不定愁訴程度の症状を、このままにすることもできる…けれど、一つ知るととことん探求してしまいたくなる自分は、このまま知らないままの未来の不安を思うようになりました。

どこに受診したら良いのだろうか

そうと決めたら動く自分ですが、次にどこの病院に行くべきかがわからず。
私が住む新潟県上越市は、新潟県でも富山県や長野県に近い地方。
新潟市に行こうとすると、高速を使っても車で2時間の道のりです。
調べていくうちに、マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群等の結合組織疾患の権威である病院は信州大学附属病院であることはわかったのですが、いきなり大学病院はハードルが高すぎる。
そこで、大学同期などにも経緯を説明して相談し、遺伝カウンセリングをしているところにまずは相談をしてみたらどうかというアドバイスをもらい、国立病院機構新潟病院(新潟県柏崎市)の遺伝カウンセリングを受けてみることに決めました。

受診の続きは次回記します。

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