「河野氏、広報本部長起用」に見える”体のいい”格下げ人事は、小池知事が本家本元

 自民党総裁選の余波はこれから顕在化するでしょう。すでに党役員人事では論功行賞丸出しの人事配置が次々と明らかになっています。そんな中、岸田新総裁と決選投票を争った河野氏が自民党広報本部長に起用されると報じられ、ちょっとした驚きを持って受け止められています。決めた側は「彼のSNSをはじめとする強力な発信力を党のために存分に発揮して欲しい。まさに適材適所の配置だ」などと言い訳するのでしょうが、誰がどう見てもあからさまな降格人事、報復人事ですよ、これは。

 まさに、”村社会”の掟に逆らうと冷や飯食いかよ、と言いたくなるような処遇ですが、まあ、これが権力闘争の世界と言ってしまえばそれまでのこと。しかし、政治に限らず役人の世界でも同じようなことが頻発していることはあまり知られていません。それも、小池都政において際立っていることを。。。

 2020年7月、新型コロナが猛威を振う最中、都庁の幹部異動が発令されました。コロナ発生直後から陣頭指揮を執っていた福祉保健局長が突如、交通局長に異動になったのです。表向きは昇任です。なぜなら、交通局や水道局、下水道局の公営企業の局長はその他の局長より格上で、給与も高い。通常なら「ご異動、おめでとうございます」で済む話ですが、コロナ禍の緊急時に前線のトップをすげ替えるのは異例中の異例です。

 都庁内ではある噂が駆け巡りました。コロナ対策でその局長は小池知事に何度も直言したが、聞き入れられなかった。保健所との連携強化を進言した際には「だったら、あなたが保健所に行けばいいじゃない」と小池知事から嫌みを言われた、などなど。つまり、”体のいい”報復人事。表向きの体裁は保ちつつ、実態はあくまで「外された」ということでしかない。どこか、今回の河野氏の処遇とダブって見えて仕方がありません。これ以外にも、小池知事のコロナ対策を巡っては、新設されたコロナ対策の局長級ポストが数か月間も空席になったり、医師免許を持つ医療系の部長が突如、退職したり、不可解なことが頻発しているのです。

 その一方で、こんなことも。

 小池知事の特別秘書で、都民ファーストの会の代表も務めた人物が、都の外郭団体である東京水道株式会社の社長に就任しました。(2019年5月)その際、小池知事が「適材適所」を強調して社長就任の理由を弁解がましく説明していたのをよく覚えていますが、いやいや、待ってください、この人物、水道の「ス」の字も知らない水道事業のド素人、しかも、生まれてこの方、組織を管理した経験なんて皆無なんです。どこが適材適所なんですか。「余人を持って代えがたい」とは人事サイドが多用する屁理屈ですが、この時は、小池知事とこの人物との不仲説があって、クビにすると世間体が悪い(それに、小池知事の内幕を暴露されるリスクもある)ことから、縁もゆかりもない外郭団体の社長に押し込め、口封じを図ったというのが事の真相だったように感じます。

 河野氏から話はずいぶん遠くまで来てしまいましたが、申し上げたいのは、国の自民党を遙かに凌駕する人事権の乱用が小池都政下で横行しているという事実です。「築地と豊洲」の出版によって外郭団体の理事長を解任された私が言うのですからウソではありません(笑)。


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