小池知事の「戦争証言映像のデジタル化」はウクライナ便乗商法の臭いがプンプン

 6月7日、都議会では第二回定例会の代表質問が行われました。最大の特徴はコロナ関連の質疑が激減したことです。これまで答弁に立ってきた担当局長はさぞほっと一息ついたことでしょう。
 どうやら都政においてコロナ対策は既に旬を過ぎた課題のようです。であるならば今こそ、この2年間小池都政が行ってきたコロナ対策(無為無策を含めて)を第三者の目で総括すべきだと思いますが、この件は別稿に譲るとして、目玉が見当たらなかった代表質問の中でメディアが注目したのは、昭和20年3月の東京大空襲を経験した方々の証言映像をデジタル化すると小池知事が表明したことでした。

 かつて都には「平和祈念館(仮称)」構想がありました。東京大空襲の遺品や証言者の映像などを収める計画だったのです。ところが、この構想を巡って都議会が大紛糾。当時、都議会自民党には極端に右に傾いたおじさん議員が何人かいらっしゃいまして、声を大に猛反対したんですね。戦争と平和の問題には、常にイデオロギー的な対立や歴史観の違いが持ち込まれます。この時もそうでした。都民感覚からしても、若い一都職員だった筆者にとっても、なんじゃこりゃ、意味わからんという感じでした。

 それから時は流れ、構想は忘れ去られ、せっかく記録された貴重な証言映像も公開されることなく埋もれてしまいました。それが今回、デジタル化によって蘇る道筋が示されたこと自体は大いに歓迎すべきです。
 しかし、よく考えてみてください。小池知事はもう6年間も都知事をやっているんです。なんで今になって「私、やります!」と言い出したのでしょうか。本当に関心があり平和を願っているのであれば、1期目にできたはずです。でも、まったく手を付けなかった。臭いますねぇ。怪しいですねぇ。

 実際、小池知事は7日の本会議でこう答弁しています。「ウクライナ情勢を目の当たりにし、都民の生命に対する意識が高まっている」と。だから、デジタル化に着手し後世に引き継ぐのだと。かっこいいですねぇ。そういえば同日、小池知事はミサイル攻撃から身を守るための緊急避難施設の指定を23区に留まらず多摩地域など都内全域に拡充すると答弁しました。危機に対応するリーダーってところでしょうか。

 結局、ウクライナ戦争や北朝鮮のミサイル発射は彼女のネタに使われているに過ぎないのではないか。証言映像のデジタル化もある種の便乗商法なのではないか。これ、小池さんがよく使う手です。世論の動きを読んで取り込み、反対しづらいタイミングを見計らって「私、やってます」的な演出を前面に押し出してくる。そして存在感を誇示するというわけです。

 手垢にまみれた手法とは言え、よくよく注意していないとコロッと騙されます。既にもひとつの「便乗商法」が始まっています。夏の電力ひっ迫です。電力ひっ迫にかこつけて、小池知事は事あるごとに太陽光パネルの設置義務化を喧伝しています。今後、一大キャンペーンが仕掛けられるのは目に見えています。「電力需給ひっ迫注意報」の前に、小池知事「便乗商法注意報」を発令しなければなりませんね。


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