「小池知事は都議会自民党に取り込まれ始めた」説を追う
新年度予算の審議が真っ最中の都議会ですが、正直、ぜんぜん面白くありません。話題と言えば、都議会史上初のオンライン質疑が行われたことぐらい。コロナに感染した都民ファーストの会の都議が予算特別委員会でリモート出席して小池知事と質疑を交わしていました。それはそれでめでたい話ですが、本会議での質疑はまだ不可なんだそうです。
さて、都議会が盛り上がらない最大の原因は、都議会の勢力分布にあります。自民党33、都民ファーストの会31、公明党23、共産党19、立憲民主党15・・・・。このドングリの背比べ状態が大きく影響しています。都議会の定数は127、過半数は64。つまりどの会派も単独では過半数に届かないのは言うに及ばず、知事与党の都ファと公明を足してもまだ足りない。明確に反小池路線を貫いているのは共産と立民ぐらいです。
そうなると鍵を握るのは最大会派の自民なのですが、これがまたピリッとしません。チクチクと小池批判はするものの、正面切ってケンカは売らない。それだけ、都政運営に責任を感じて行動している、コロナ禍にあって何でも反対はできないということなのでしょう。国政や夏の参院選をにらんで案外大人しい動きに終始しています。
そこで思い出すのが、数か月前に自民党のある有力都議が話していたことです。小池はもう長くはないだろう。すぐにいなくなるかもしれないし、2期4年を全うしてお仕舞いかもしれないが、どっちにしても長くてあと2年少々だ。。。自民党は小池知事の余命をそう見ています。
都議会自民党はすでに「ポスト小池」を展望しているというわけです。次の都知事選までの間、最大会派として小池知事を適当に手懐けられればそれで良しとする作戦を取っている、私の目にはそう映ります。新年度予算で小池知事は公明党の要求を丸呑みするなどやりたい放題ですが、「今は大目に見てやるが、はしゃぐのもそこまでだ」と腹をくくっているのかもしれません。
一方、目の上のたんこぶである都ファは、今夏の参院選で代表の荒木都議が出馬表明しています。他にも現役都議が出るかもしれない。補欠選挙もあります。そうなると、数の上でも質的にも都ファの力は低下せざるを得ません。自民党にしてみれば、もはや恐るるに足らず。あとは時間をかけて公明党との関係を修復すれば、都議会を自分たちでコントロールし、小池知事を操り人形にすることもできる。
なかなか興味深い筋書きです。ここで抑えておくべきは、都議会に限らず地方議会の会派は超長期の視点で自らの生存戦略を持っているということです。2期か3期でコロコロ代わる首長とは違い、自分たちは地元に根を生やしているという感覚です。自民党や公明党にこの傾向が顕著です。(都ファにあるとは思えませんが・・・・。)
都政に飽きたとも言われている小池知事が、今後、自民党に取り込まれても何の不思議もありません。というか、自民党に取り込まれてまで小池さんが都知事を続ける意味を私は見つけ出すことができません。取り込まれる前に、もう一度崖から飛び降りて欲しいと願っています。