
【住宅購入基礎講座】 自己資金とローンのバランスは?
こんにちは!!一生に一回の買い物と言われる「家さがし」について
「一級建築士」「宅地建物取引士」「ファイナンシャルプランナー」
という観点から、住宅購入時のお金の話をしていきます。
家を買う時、自己資金(頭金)はいくら必要??
土地・建物を購入する時、常に問合せランキング上位にあるのが「自己資金(頭金)っていくら用意すれば良いですか??」という質問です。
結論は一般的には「契約手付金」のみです。
住宅購入時のお金の流れは以前公開した↓の記事を参照してみてください。
例えば上記のイメージ(土地+建物=4500万円)だと
①土地 2500万円
②建物 2000万円
③諸費用 332万円
となり、合計4832万円が必要になります。
このうち、自己資金は初めの「土地手付金」「建物手付金」の合計200万円のみが必要になり、残りはローンでの対応が可能です。
契約時の手付金は銀行は融資してくれませんが、後々手付金分も含めて融資可能なので、上記のケースの場合でしたら最大4830万円が融資可能額となります(一般的に住宅ローンは10万円単位での借入)。
ここで注意点も一緒に整理しておきます↓
◆自己資金・ローンの注意点
①手付金の金額は土地売主・ハウスメーカーに確認要
②ローンの条件によっては「諸費用は自己資金での対応になる」場合もある
③ローンの借入額が伸びなければ、残りは自己資金での対応が必要
自己資金に余裕がある場合、ローンを減らしたほうが良い??
先程は「自己資金は手付金のみが必要」ということを述べましたが、
「私は自己資金300万円あるよ」
「俺の親から贈与1000万円あるからローンを減らそうと思う」
という場合、自己資金を全力で入れてローンを減らすか、自己資金は手元に残すべきか、どうしたら良いかという質問もよく受けます。
結論は「どちらでも良いです」。
なぜならば、住宅ローンにおいて
①住宅ローン控除
②団体信用生命保険
という2つの大きな制度・仕組みがあるからです。
個人的にはローンをしっかり組んで手元に現金を残しておき、ローン控除が終わる10年・13年後にある程度繰り上げ返済するというのが良いかなぁと思います。
その理由をもう少し深堀りしてみます。
住宅ローンの2本柱→①「住宅ローン控除」
◆住宅ローン控除
今は変動金利だと金利が1%を下回る時代です。
それに対して住宅ローン控除は借入金額の最大1%が控除される仕組みです(※)。
2021年税制改正で住宅ローン控除や床面積はどう変わる? ポイントを分かりやすく解説
https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00380/
※…税制改正により2021年9月以降の請負契約の場合は住宅ローン控除条件が変わります。
住宅を購入した人は納めるべき【所得税(+住民税の一部)】の軽減を受けられるという仕組みなので、急いで繰り上げ返済したり、沢山の自己資金を投入しても、結局その次の年以降は税金をしっかり納めないといけません。
折角国の制度で恩恵があるのにそれを使わないのは勿体ないと思います(ふるさと納税も同じです)。
自分がどのくらい住宅ローン控除を受けられるかは下記のサイトで確認することができます。ぜひ一度試してみてください↓
価格.com 住宅ローン控除(減税)シミュレーションhttps://kakaku.com/housing-loan/simulation/koujo_simulation.asp
例えば、
①年収500万円、奥様は専業主婦(扶養に入っている)
②土地2500万円、建物2000万円の合計4500万円
③金利0.525%、借入年数35年、2021年7月から返済開始
という条件で住宅ローンを借りたとすると、
国の制度で受けられる恩恵は約316万円となります(2021年1月現在※)。
(※…住宅ローン控除13年間で276万円、すまい給付金で40万円)
その際にかかる利息は10年間で約205万円となります(13年でも約254万円)。
よって、住宅ローン控除で受けられる恩恵>住宅ローンの利息となり、
今の時代は住宅ローン控除の制度を利用する方が理論的には節税対策となります。
住宅ローン控除の恩恵をしっかり受けてから一気に返済するという考えです。
但し、納めている税金の一部を控除するという考えなので、年収によって受けられる控除額が異なるので、「とりあえず目一杯住宅ローンを組む」ということをしないでください。
工務店・ハウスメーカーの担当者に聞きながら進めるのが良いと思います。
(逆にこれを答えられない担当者はチェンジしても良いです笑)
住宅ローンの2本柱→②「団体信用生命保険」
銀行から融資を受ける時に必ず加入が必要なのが「団体信用生命保険」です(※)。
※…フラット35での借入の場合は加入しないことも選択できます。
通常「団信」と略される住宅購入時の保険のことで、
住宅ローンを組む人が
①死亡
②高度障害
③(オプション特約をつけている場合は)ガン・脳卒中など
で保険会社が定める状態になった場合に「住宅ローンがチャラになる」というものです。
価格.com 団体信用生命保険とは
https://hoken.kakaku.com/insurance/gla/article/1103a.html
もちろん保険の一種のために「健康な人しか入れない」という注意点があります。
具体的には住宅ローン本申込みの際に「告知書」にて自身の健康状態を正直に報告するというものです。
なので、年齢を重ねるごとに「告知内容」にひっかかるリスクがあり、
私も「家を買いたいけど健康状態でひっかかってローンを組めずに断念した」というお客様が何組かいらっしゃった経験があります。
体の健康だけでなく、心の健康でひっかかるお客様もいますし、
「高血圧」によって「ワイド団信」という通常よりも金利の高い住宅ローンを組まざるを得ないケースも多々あります。
話は戻りますが、この「団体信用生命保険」があるために、当初10年間は急いで繰り上げ返済しなくても良いのだとも考えることができます。
ここで2つの事例を考えます。
貯金1000万円ある人が4500万円の住宅を購入する際、
①自己資金0円(貯金1000万円残す)、住宅ローン4500万円 という家族
②自己資金1000万円(貯金ゼロ)、住宅ローン3500万円 という家族
を比較した場合、5年後にもし交通事故で夫(住宅ローン債務者)が亡くなってしまった場合、
①は貯金1000万円+住宅ローンが無くなる
②は貯金ゼロ+住宅ローンが無くなる
という状態になります。
よって、「住宅ローン控除で受けられる恩恵>住宅ローンの利息」の状態の時は現金を手元に持っている方が家族を守る対策になるということができます。
たくさん借りれば良いという訳ではない
日本人は得てして借金が嫌いな人種。
住宅ローンを組むことで自分や家族のメンタルが良くない方向に行くのなら、やはり自己資金を入れて住宅ローンを軽くしておくのが良いと思います。
また、年収によって受けられる住宅ローン控除額も変わってくるので、外回りの営業や消防士など、運転リスクや危険な業務を伴う職種でなければ、団体信用生命保険を使うリスクが多少低くなるので、年収とローン控除額のバランスを考えて最適な住宅ローンを組むのもありだと思います。
逆に、フルローンで住宅ローンを組み、生活防衛資金(生活資金の3〜6ヶ月分)を除いた資金を「海外のインデックス投資」や「海外の高配当株」などに回して運用するという手もあります。
「運用や投資って怖いなぁ」と思う方は是非身近に詳しそうな人、または私に相談してみてください。このお金を高リスク投資に回す必要はありません。安全運用で長期的に増やしていくという意図で考えるのが良いと思います。
以上、住宅購入における自己資金と住宅ローンのバランスのお話でした。
あなたの家さがしがうまく進みますように!!