真の幸せとは、「達成しない」こと(変態ラーメンブログ)

こんにちは、都知事です。

先日、とあるラーメンの話をしたと思っていたのですが、記事にしてなかったのでお話します。


まず論点がズレてはいけないので、初めに申し伝えておきますと

①本当に楽しみにしていることは叶えない事で永遠にワクワクできる

②達成してしまうと、思ったより物足りない事が多い

③食欲、性欲は特にその傾向がある


以上の3点です。では参りましょう。
都知事の変態ラーメンブログ、開幕です。

都知事の職場はパチンコ屋さんで、そこの駐車場で交通誘導の仕事をしているのですが、駐車場の出口、つまり持ち場のすぐ隣にラーメン屋さんがあります。


ふわりと香る、というより、「ガッツリこってり良い匂いを流して客を鷲掴みにする」、とにかく破壊力の高い香りを換気扇からぶわ〜っと流していて、とてつもなく美味そうなのです。


ですが、実際に食べてみたら味はなんてこと無く、むしろショックを受けるレベル。

不味くはない。ただ、美味くもない。

いっそ不味ければ一蹴出来るのに…

そんな「自分でラーメンも作れない男」にハチャメチャに文句を言わせるほどのガッカリなラーメンなんです。


さて、味はそんなにもガッカリなのに、匂いだけは別物のように美味そうなのです。これが問題です。


「美味くも不味くもない」事は分かっているのに、ときたま、その香りに誘われて入りたくなってしまう…

でも、それはまやかし。

つまり、「香りだけなら楽しめるが、食べるとガッカリ」という方程式が私の中で組み上がりました。


そしてある日、そのお店にでかでかとポスターが貼られ、こう書かれていました。

【待望の復活!背脂中華そば】

私は思いました。

「緊急事態宣言を受けてパチンコ屋でさえ広告自粛しているというのに、この反政府ジャパニーズヌードルショップめ」

「にしても…この背脂中華そば、果てしなく美味そうやな…」

「まずディテールが素晴らしい、ミロのヴィーナスに劣らないくらい美しい」

「チャーシューがエロい」

「半熟玉子がうるうるしながらスープと絡まって飲まれるのを待ってる」

「海苔がデカい、これはもう海苔²、海苔の2乗でノリノリってか…」


「背脂中華そば…食してみたい…」

私は愚かにもそう思いましたが、ここは反政府組織で、人を香りで惑わし、味でガッカリさせる暗黒ラーメンショップ。


「味は間違いなく美味くない」
「でも写真は素晴らしい」

「多分食べたら後悔する」

そう思った私は考えました。

「ではこの写真を見て、自分の中で最高の味を想像して、妄想の中でこのラーメンを味わってやろうではないか」

「食べ放題でノーカロリー、おかわりしまくっても腹が痛くならない。最強だ!」


私は真理に辿り着きました。

そう、ラーメンとは芸術品、見て楽しむものだと悟りを得たのです。

そもそも、現代に横行する食べログやレビューというのは、同調圧力が働いていると都知事は推察しています。

友達と食事に行った時、どんなに不味くても美味くなくても、その場で「不味い」とは言わないですよね。

食事が終わって店を出て、その友達が「あー、美味しかった!」とか言おうもんなら、「私は美味く思わなかったけどとても言えない」みたいな、言いたいことも言えないこんな世の中状態になるのです。ポイズンです。


芸能人のサインも同じ。

店の中に無駄に飾りまくってるあの色紙。
「不味い」と書かれているものは1枚もありません。

そんな事書こうもんなら、その人のブランドが落ちてしまうからです。

食べログ3.5の評価も、芸能人のサインも、ビートたけしの「美味い!」も、全てが全て同調圧力。

「周りが美味いって言ってるし、美味いんだろうな」「あ、横の人が美味いって言ってる、じゃあ私も美味いって言っとこ」


何故…何故!?


クラスでスカートめくりが流行ると、最初は黙っていた陰キャもそのうち「自分もやっていいのかな」とおずおず手を伸ばしてくる現象が発生するそうですが、大人になっても何も変わっていないでは無いですか!!

どうした日本人!?(朝青龍)


いや、確かに分かる。

料理を作ってくれる人に感謝する、残さず食べる、お金を払ってご馳走様でしたと言う。

いや分かるんです。

でも、「それとこれとは別」、「感謝」と「評価」をごちゃ混ぜにしてはいけない!!

もうキレすぎて何を言いたかったのか忘れてしまいましたが、「食べたいなと思ったもの」は、実際に食べてみるとそこまで感動はなくて、「食べたいなと思ったものを食べたいと思い続けている状態」こそが、一番幸せなのではないかな、と思いに耽ける都知事なのでした。

ではまた。


【追記】

背脂中華そばはつい先日、販売終了しました。
味を知ることなく、食すことなく終わることにより、背脂中華そばは私の中で神話として完成し、永久に滅びることはありません。

ありがとう、背脂中華そば。私の推し麺。

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