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小諸から上田まで(北国街道を歩く2)

 ひととおり、五街道を歩き終えたところで、やり終えたかなという感情が起きてしばらくの間は街道歩きを止めていたのです。その間、家族のこと仕事のことものの考え方や身の回りのあれこれも変わっていくものです。ふと、道をひたすら歩いている時の開放感と自由さを思い出してまた歩きたいと思いました。たまの平日に取れた休み。久しぶりに出かけることに。
 やりかけの北国街道歩きは、1年以上も前に、追分宿から小諸まで歩きました。どこを歩こうかと思った時に、まず思い出すのは、その先を歩きたいなということです。軽井沢駅でしなの鉄道に乗り換え。右手に浅間山を眺めつつ小諸で降りて本陣跡へ。前回歩いた時に工事中だった本陣はまだ工事中でした。


小諸の町の標高は630メートルで、だいたいスカイツリーくらいの高さに位置し北から南から北に向けて標高が高くなっていて、その途中に市街地が位置しています。だから市街地には平らな場所が無く、街を外れるとすぐに下り坂が現れます。しかもかなり急な坂道です。右手は家が点々とした丘しか見えませんが、左手を見ればどこを歩いても見晴らしが良い。でもあまり変化の無い一本道はだんだんと飽きてくるところです。
特に休憩できるような目立つ史跡も無いところが、気分的にキツくなってくるところです。

そんな単調な道は、しなの鉄道の田中駅のあたりまで続いています。気がつけば休憩なしに1時間以上も歩いていて、歩きが楽しいものでなく、つらいものに変わってしまっている。これは良くない。きれいに整えられた駅前の市街地ですが、気軽に食事を取れる店はすくないようです。ここは信州そばといきたいところですが、そもそも蕎麦屋が無いので、近くのイタリア料理の店へ入りました。
 これが予想外に良かったのです。頼んだピザは薄い生地が食べやすく軽い食感。あっという間に平らげましたし、付け合わせのサラダも野菜が美味しかった。元気を取り直して、再び歩き。今回の行程では、ここ「海野宿」が一番観光地らしい観光地でしょうか。駅からは少し殺風景な通りを歩いていき、しなの鉄道の踏切を過ぎれば神社が見えます。この白鳥神社という神社が宿場の入り口になっています。この場所は開放的な場所で、けやきの木の先には千曲川が見えます。もう一方を見ると街道が続いています。


 白鳥神社を出て右手を見れば、海野宿の宿場が広がっていて圧巻でした。同じような旧い佇まいを残した宿場といえば、木曽路の奈良井宿や妻籠、東海道の関宿などは有名ですが、ここも匹敵するかも知れません。観光客をあてにした店は少ないですが、宿場の先まで一直線に伸びた街道筋の見晴らしの良さは、他にはない海野宿の特徴でしょう。その宿場道も1キロくらい歩けば普通の集落に変わっていきます。大屋駅の近くまで歩くと、次第に千曲川が近くに寄ってきます。川の近くには仁王堂という建物があり、中のお堂には少しユーモラスに描かれた仁王様が居ます。そしてすぐ隣は千曲川が流れています。


 千曲川沿いに街道は進んでいきますが、間近で川を眺めるのはここぐらいでしょうか。近い割に川沿いには堤防が作られたり、その工事中だったりとあまり趣は感じられなかったですね。ただし、少し単調な道でもバイパス道の脇を歩くようなことは、今回の行程ではほとんど無かったのは良かったですね。前方には新幹線の上田ハープ橋が見えてきて、さらに進むと左手に新幹線と並走して、これを過ぎたあたりから上田の市街地に入っていきます。やはり上田の街は広くて大きいですね。上田の市街地はまだシャッター街にはなっていなくて、まち歩きを楽しめるような市街地が保たれています。
やけに喫茶店がたくさんあるのが面白いですね。上田の市街地のどまんなかに「本陣跡」の石碑があって、ここまでが今回の歩きのゴールです。久しぶりの歩きですから、とても30キロは歩けず、今日歩いた距離はほぼ20キロくらい。本陣跡の近くには茶屋があって、あるきの締めは抹茶フロートで休憩しました。
 久しぶりに街道を歩いてみれば、この先善光寺あたりまで歩いてみたいなと欲も出てきました。帰りの車中では、次の行程をどうしようか?などと思い巡らせては、ほくそ笑んでいました。

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