【報酬未払いで逃げた取締役】中村が中村を追う4話
前回までの話 取締役である中村と「念書」を交わした、未払いグループ。支払い期日は9月末。私は別途、代理店から別冊ふろくの制作費用を8月と9月半ばに支払うということで合意した。その結果…。
結論からいえば、8月末に約15万円の入金があった。入金は代理店ではなく、中村の別会社の口座からだった。そして9月半ば、2回目の支払はなかった。もちろん中村に電話はしたが、当たり前だが出ない。
夏川氏に連絡をすると「未払いの人からの連絡が多くて仕事にならないから、このグループのやりとりは代表でやりとりをしましょう」と、念書を交わす際に中村と約束したらしい。
だから、グループ以外の電話は一切受け取らないというのだ。なんだそれはと思ったが、約束の入金がないことを伝えた。私は「何度も入金予定日を反故されているため、中村のことが信用できない」と訴えた。
「でも、8月末の入金はあったじゃないですか?他の人はまだ一切払われてないんですから、9月末まで待ちましょうよ」と、夏川氏は言った。
しかし、私はこの時ライターの仕事がぐんと減って定期収入がなくなってしまったため、金銭的に切羽詰まっていたのだ。「確実な入金日ということで、私は合意しました。でも、2回目の入金の約束は破られましたし、代理店からの入金でもありませんでした。」
「Nエンターテイメントは中村社長の別会社ですよね。代理店から入金される予定がないんじゃありませんか。中村社長の言ってることが信用できません。私は、個人的に法的措置を進めます」と言った。
しかし、「念書を交わしている以上、グループの中で別の手段を取られると念書の効力がなくなります」と言って、夏川は私を止めた。
双方意見は平行線のままだった。私は、支払い先が代理店ではなかったことが気になっていた。編集長に聞けば、実は代理店からの入金が1冊目から滞っているのだという。
というのも、雑誌の隔月刊が決まったのは今年の頭。ふろくをスタートさせることが決まったのが、前年の11月。まだ、雑誌が月刊だった頃の話だ。
当初の予定では、10ヶ月でグループ全員のふろくを作り、1年で写真集を発売するはずだった。それが翌年、突然雑誌が隔月化し、それを聞かされたのも発売後だという。当初の予定と話が違うと中村ともめているらしい。
年間6冊しかふろくが出せず、写真集も1年半~2年後の発売になる。デビュー直後のスタートダッシュを狙った販促企画が裏切られたと、代理店の取締役が憤慨しているというのが大まかな筋だった。
編集長からの話を聞いて、私は確実に9月半ばの入金がないことを悟った。それと同時に支払督促の手続きを進めた。9月末に入金がなければ、そのまま仮執行宣言を発付できる状態にまで手続きを進めるつもりでいた。
支払督促とは…未払いなどに効果的な法的な手続きの一つ。簡易裁判所が内容を審査して受理されると、相手方の言い分を聞かないで金銭の支払いを命じられる。相手が要求に応じない場合は、仮執行宣言を発付し、相手の口座を差し押さえるなどの強制執行を行うことができる。
グレーゾーンの知的障害者の家族のコミュニティや生活のあり方などをもっと広めたいと思っています。人にいえずに悩んでいる「言葉にしたい人」「不安」を吐き出せるような場所を作りたいです