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アカペラとドレスと穂音さんと

黒いドレスに煌びやかな無数のスパンコール。チューブトップのドレスは、ピッタリとボディラインに沿って、足元まで長く伸びていた。
姿勢、歩き方、視線。
どれをとっても申し分なく、6人それぞれの体格や背丈はバラバラなのにも関わらず、誰1人として、ドレスに着せられているものがいない。

フラダンスをしている時から、ステージドレスを着こなす女性に憧れがある。
あれは、スタイルで着るものではないのだ。内面から滲み出る、そこに立つ者の自信、揺らがない覚悟がドレスを輝かせる。


12月某日、穂音さんに誘われて、神戸朝日ホールにて、アカペラコンサートを鑑賞してきた。


前情報全くなしで会場にたどり着く。
穂音さんから「歌唱力は絶対に間違いないから」というその言葉だけを信じて。

期待と、ちょっとだけ不安。
もし、知らない曲ばかりで眠くなったりしたら失礼じゃないかしら。

それは、ステージに現れた6人を見ただけで杞憂だと分かる。声を聴く前に。
ドレスを着て、あんな風に歩いて、ステージの中央にたどり着ける。
初めて見るのに、胸が高鳴った。

アカペラが始まる。
リードボーカルが次々と変わる。女性だけのグループなのに、深みのある低音が聞こえる。楽器は存在せずボイスパーカッションは狂いなく繰り出されている。
知っている曲も、知らない曲も、歌謡曲も洋楽も、童謡も、全部が心地いい声だった。

透明、というのとは少し違う。
質感があって、多角形の粒が次々光に反射していくような声だった。重いのと軽いのと、大きいのと小さいのと、硬いのと柔らかいのが、あちこち壁にぶつかったり私にぶつかったりする。

アカペラ……すご……!!
テレビでは何度も聴いたことあるけれど、生のステージの迫力。人間の声だけしかないのに、常に安定して繰り出される技術の凄まじさ。

そしてなんと、6人全員がMCも上手かった。
話すの苦手という人1人ぐらいおるやろ。と思うのだが、いやおらんのだ。
そのうちのお一人は、完全にプロだった。
隣で穂音さんが、その笑いのツボに何度か入り、コロコロとずっと笑っているのも見どころで、私はMCと穂音さんの笑い声を交互に聞きながら笑った。
北原白秋の詞で有名な「この道」が歌い出された時は、あかしあの花が咲いている時点で、穂音さんは静かに泣いていた。少ない歌詞が音楽に乗って。自分と、自分じゃない人の体に貫通していくのをじっくり感じた。

映画、『グレイテスト・ショーマン』で流れた「This is me」は、今まで何度も何度も何度も聴いた曲だ。あ、この曲。と気がついた時は身体中が粟立った。
これが私。
ステージから響く声がとてもまっすぐで強くてしなやかで、体に自然と力が漲った。「じゅんちゃん」という名前を覚えた。


クリスマスソングも流れる。
ドレスは黒から赤に変わった。
まっすぐに立っているだけなのに、モデルさんでもないのに、どうしてこんなに美しいのかと思った。
背中の大きく開いたドレスを着こなせる日本人女性はそう多くはないと思っていた。
痩せているから、太っているから、背が高いから、低いから。
いいえいいえ。
そこに立つ決意があるから美しい。
こんなにたくさんいる。
私にもそういう美しさがほしいと、そんなことを思った。


2024年の目標は自分の感性を知ること。
オーケストラを聴くこと、本物の絵に触れること、自分の選ばない本を読むこと。
私は、すぐ「ま、今度でいっか」と思ってしまうので、「こういうのが目標です」と周囲にも言ってみる。

そしたら「これに行ってみる?」「こんなのあるよ」「あそこはもう行きましたか?」
たくさんの人に教えてもらったり案内してもらったり。

穂音さんに教えて頂いた、『宝船のアカペラコンサート』もこんな会話から誘って頂いた。
ひとりじゃここに辿り着かなかった。
歌声の余韻は、2024の私の体の隅々まで行き渡り、「今までの出会いに感謝をする」という大袈裟に言うまでもないことを、それでも、しみじみと心から実感させてくれた。


もちろん、神戸の街も穂音さんと楽しむ。
ランチをして、お茶をして。
聞いてほしいことがこんなにもあるんだと思う。聞きたかったことも、2025年のことも。

はしゃぎすぎて「やだごめんなさい嫌いにならないで!」というのを複数回言った。
あと、私が改名したらどうする⁉︎ という、答えにくそうなこともぶっ込む。とき子のままだけど。時々、本名がすごく照れ臭いんです。良い子でいなきゃと思ってしまう時もあるんです。
「姓名判断もありよ!」と穂音さんは言った。
「それで言うと、私、本名がぶっちぎりの運勢ですわ!」と答えたら
「え!じゃあもう実名の方がいいんじゃない⁉︎」って言われて、あらま!とも思った。
そんな風に、note上の話も、創作の話も、現実を生きて感じている話も、やたらめったらした。
16時過ぎには電車に乗りますね、と自ら言ってたのに、18時になってた。
電車の中で、窓に写る私がニヤニヤしている。私、神戸でオシャレなランチしてアカペラ聴いて、その後ティータイムも楽しみましてん。

もうすぐ2024年が終わる。
クリスマスソングを聞きながら、ひとり早めにクリスマスプレゼント貰っちゃったな、なんて思っていた。

穂音さんの選んでくれた店に象発見!
入り口にも!
店内にもー!
帰りはサクサクのマロンパイ♪

正解は私、うふふ。

穂音さんといえば白いお犬様。
そういえば、穂音さんは白いロングのワンピースを着ておりました。


今年はオーケストラを2回、美術館に4回行けました。目標年2回以上クリア。
本は月に2冊以上をクリア。
ウクレレステージにも2回立つことができました。

元日から素敵だった。

モネ展にも行けたし、動くゴッホ先生も見た。

カニさんとデ・キリコ展

自分じゃ選ばない本も複数冊楽しむことが出来た!

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