使用料
「使用料は…」
「えっ」
玄関を開けた瞬間。
「使用料」
雲が笑っている
アメリカン・コミックみたいに
え…と、財布は…
「違うんですよ」
「違う?」
「あなたは私に気付きましたね」
「はい」
「気付かない人もいます」
「はあ」
「あなたはたぶん外出先では怒らないでしょう(起こらないでしょう)。そうしようとしても免除されます」
「私に気付いたので」
「はあ?」
「つまり時間を食いません。急ぎません。スピードも違反しません。でも、ランチタイムで混む前に目的地に着きます。メニューに迷いません。もう今ご飯のことを考えているでしょ?つまり命をムダにしません」
「それが、使用料」
はあ…?
「でも明日は気を付けて下さいね。今日はよくても明日はわからないのが人間の常だから」
彼はうしろ向きにすり足でダンスをしながら去っていった
マイケル・ジャクソンみたいに