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どうしてる?〜乳がん術後の左右バランス


温存か、全摘か(治療の経緯)


2年前に右胸乳がんの手術をしました。
最初、3.5センチあったがんを抗がん剤治療で2センチ程度まで小さくしました。その後、温存療法でがん細胞を取り、リンパ節郭清。放射線治療もしました。
そして再発予防のために分子標的薬を数ヶ月と、ホルモン療法は現在も継続中です。

そして、術後2年。少し精神的にも余裕が出てきて、体力的にも元に戻りつつある中で気づいたことがあります。

歩き姿勢が真っ直ぐに伸びないことです。
手術をした右肩に負担をかけないように、カバンも買い物の荷物も可能な限り左手で持つようにしています。しかし、気づけば右の腰が痛くなり、右側の股関節が伸びなくなっていました。なぜだろうと理由を探ると、私のおかしな歩き姿勢に原因がありました。
カバンが肩からずり落ちないように左肩にかけたカバンを背中に半ば背負ってい他のです。過度に負担がかかった右腰が後ろに逃げ、お尻を突き出して歩いていたのです。そのため股関節も伸びなくなっていたのです。

姿勢の変化はそれだけではありませんでした。

パソコン作業などをしていると、なぜか右の肩が左より上がっている気がする。というか、右胸が軽い気がするのです。


そういえば、手術の説明を受けた時に
「再発リスクが低くなるなら、全摘でも構いません」
という私に、主治医は

「まあ、全部取っちゃう方が手術する方としてもらくなんだけど、でも全部取ってしまうと体の左右バランスが狂っちゃうんだよね。再発リスクに関しても、全部取ってもあなたの場合は変わらないから、温存療法がいいと思いますよ」
とアドバイスをしてくれました。

その結果の温存療法だったことを思い出しました。


乳がん術後の左右バランス



本人が気づいているかは別として、乳がん手術をした人の多くが左右バランスが崩れているのではないでしょうか。

私自身は、右乳房の外下側を取りました。そのため写真を撮ると、垂れ目な左胸に対して右胸はつり目。当たり前ですが、取った部分の乳房分少なくなっています。触ると明らかに右が小さい。多分おむすび1つ分くらいの違いがあるのではないでしょうか。

このことで日常生活で大きな不便を感じたり、人からの視線を感じたりすることはないのですが、強いていうならブラがずれていくことでしょうか。

手術後から使い始めたユニクロの前あきブラを今も使っているのですが、乳房の大きい左に引っ張られがちで、中心にあるはずのホックが左へずれていきます。カップがしっかりしているおしゃれブラや、乳房が小さくなった分パッドを入れて調整すればズレないかもしれません。
私はあまり気にしていないので、外出先で時々トイレで直したりする程度で、そのまま使っています。

そして、最近気づいたのが左右の重さのアンバランスです。


アンバランスは雪だるま式に膨れ上がる



体の左右バランスの重要性については、私の前職(福祉用具専門相談員)でも実感する場面が多々ありました。

体のバランスは〈筋力の低下✖️時間〉で問題が明らかになってきます。
筋力のあるうちは、意識すれば筋力である程度リカバリすることができます。

しかし、姿勢に対し無意識でいる時間や筋力の低下などで体は重い方に引っ張られます。最初は違和感だったり、腰や背中、首のコリだったりするかもしれません。

ほんの少しのアンバランスですが、それを軽視することはお勧めしません。
最初のアンバランスは、手術で摘出した〈がん細胞とわずかな脂肪〉の重さだったかもしれません。
しかし、その左右さで生じた姿勢のアンバランスによって、〈がん細胞とわずかな脂肪+姿勢の傾きで生じた頭や体幹の左右差〉が加わります。この重さで姿勢はますます変形していきます。
つまり
〈がん細胞とわずかな脂肪〉
〈がん細胞とわずかな脂肪〉+姿勢の傾きで生じた頭や体幹の左右差
〈がん細胞とわずかな脂肪+姿勢の傾きで生じた頭や体幹の左右差〉+新たんに生じた頭や体幹の左右差
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というように姿勢は傾けば傾くほど雪だるまみたいに大きくなり、姿勢は崩れていくのです。
そのため、姿勢の傾きが大きくなって動きにくくなったり、あるいは傾いた姿勢を立て直そうとしてさらに不自然な変形を生み出したりすることがあります。

筋力に余力があるうちは、まだいいのです。筋力が弱くなっていくと、姿勢の立ち直りが重労働になっていきます。

乳房の左右差に気づいた私は、それに気づく程度には筋力が弱っているのかもしれません。



私がしている姿勢対策


そんな危機感を覚えた私が日々している姿勢対策がありますのでご紹介します。

私の課題は2つあります。
右の股関節がまっすぐ伸びなくなること。これはおかしな荷物の持ち方で起こると考えられます。
そしてもう一つは、座ったり立ったりしている時の左右差です。これは乳房の重さの違いから起こると考えられます。

課題は2つですが、対策は実にシンプルです。
正しい姿勢を意識して作る。です。
①何も持たないで姿勢をまっすぐに立ち
②正しい姿勢、足運びで歩き方を矯正するのです。
ポイントは何も持たないで行うことです。
①のまっすぐ立つ姿勢づくりは、最初は鏡を見ながら行うのが1番いいと思います。特に顎が前に出てしまいがちになるので、意識して顎を引くようにしています。股関節がうまく伸びない時は、腰を回したり股関節を動かしたり、足踏みをすると徐々に伸びるようになっていきます。歩きながら、姿勢を矯正していきます。

歩き方の矯正は、私はトレッドミルを使っています。鏡は見られませんが、頭の中で股関節を伸ばすこと、足でしっかり地面を蹴ること、前の足をまっすぐ伸ばし、それを体全体で乗り越えます。そして後ろに行った足でしっかり地面を蹴る。顔はまっすぐ前を向く。顎を引く。
一つひとつチェックしながら、最初はゆっくりと、少しずつ早くして15分程度歩きます。
たった15分ですが、意識して歩くと体の歪みも腰痛も取れますし、体の動きが良くなり軽くなります。

もちろん、ヨガとかピラティスとか、もっとハードに取り組んでいる方もたくさんいらっしゃると思います。
スポーツ苦手な私でも無理なく取り組めているので、姿勢のアンバランスが気になっている方にはおすすめです。

乳がん手術の際には、あるいは乳がん手術後の生活は、見た目だけでなく左右の重さのバランスも大事なんですね。

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