ブルペンリーダーの心意気【6/7 対ソフトバンク戦○】
連勝中のタイガースに、ちょっと心配なニュースが飛び込んできた。
湯浅京己を登録抹消するという。
湯浅は低迷する今季のタイガースに光る一筋の希望だ。プロ4年目の湯浅はここまで23試合に投げて防御率0.82。8回を投げるセットアッパーとしてこれ以上ない活躍を見せていた。
登録抹消の理由は「登板間隔の調整」。湯浅は今季初めて1軍に定着した選手だ。1年間故障なくシーズンを完走するため、あるいはこれからのプロ野球人生を見据えて、チームは勇気ある決断を下した。リリーフ投手が1年間フル回転した結果、翌年以降から故障に悩まされた例は少なくない。あるいはかつてのパフォーマンスが戻らなくなってしまった投手もいる。
タイガースがもっと先のことを考えてくれているチームで良かった。
だって湯浅はタイガースの希望なのだから。
とはいえ、心配なのはブルペン陣だ。彼が抜けた穴をどうやって埋めるのか。
「湯浅がいたら勝てた」―。そんな風に言われるのだけは絶対嫌だ。
大方の予想通り、湯浅が投げていた8回はこれまで7回を投げていたR.アルカンタラが投げた。そのアルカンタラが投げていた7回は、左腕の岩貞祐太が投げた。
先発の西勇輝が好投しただけに、1人目のリリーフの出来は重要だ。試合の主導権を握ったまま終盤戦に持ち込めるかどうか、この日は岩貞にかかっているといっても過言ではないだろう。
昨シーズンの岩貞は46試合に登板。プロ入りして初めて全試合にリリーフで登板した。だが防御率は4.66と、絶対的な信頼を得るまでにはいかなかった。
だが今年の岩貞はストレートが良い。明確な根拠はないけれど彼のボールを見ていると、そんな風に感じる。先頭のF.ガルビスからはアウトコースの直球で空振り三振を奪った。代打・松田宣浩は1球で打ち取り、続く周東佑京との勝負も2球で決着した。圧巻だった。
湯浅が不在となった初めての試合、タイガースは2点のリードをブルペン陣で守りきった。その先陣を切ったのが岩貞だった。
試合後、岩貞が記者陣に語っていたことを新聞で読んだ。
岩貞がタイガースからドラフト指名されてもう9年になる。自分よりプロ歴が長い選手も少なくなったし、年下の選手も増えた。
今年から投手キャプテンの肩書きは外れたけれど、その言葉にはブルペンのリーダーの覚悟のようなものが見えて、嬉しかった。