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「海で亡くなった、若い女性らしいよ」

そんな前情報があり、私たちは湯灌に向かいました。

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伺ってみると、若くて可愛らしい20代半ばの女性が安んでいました。
沖縄にダイビングに行って海で亡くなってしまった女性です。

結婚が決まって独身最後にお友達との思い出旅行だったとお話しを聞きました。


そこには、結婚式で着るはずだったウエディングドレスが用意されていました。このような時は、女性スタッフのみでご施行を行います。

海で亡くなったことや沖縄から帰ってくるのに時間がかかってしまったことなど、さまざまな事が重なり、故人様のお顔の色が変わってしまっていました。


大きな幸せが悲報に変わる

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彼女も結婚するはずだった彼も両家も、もうすぐ結婚式という幸せな気持ちの時に想像もしなかった悲報が届くなんて、考えるだけで悲しくなります。


心が締め付けられるぐらい私たちも苦しいです。


でも、その何十倍何百倍何千倍もご家族は苦しい思いをしています。

さっきあった、さっきまであった幸せとは真逆に急に人生が変化してしまいます。



だから、受け入れて生きることも難しく、

簡単に泣くことすら、できない状況がそこにはあります。


悲しむことすら難しい時間

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信じたくない。

信じられない。

何が起こったか受け入れられない。

上手く今を理解できない。

だから、悲しむことが後になる。



淡々と進む葬儀という現実に無理やり行動を起こしながら、心はどこか置き去りになってしまいます。



実は納棺師である私の母も突然に亡くなり、あまりにも急な悲報だったので、心がどこか置き去りにされてしまい、空っぽの状態になってしまう気持ちは少しわかる気がします。


心が置き去りになる感じ。



だから、いつも生きている日常に身を置いて、今はただ時間を過ごすことしかできない。


彼女のウエディング姿はとても可愛らしく、

ドレスがとても似合っていました。



その姿に全然ふさわしくないのはドレスでいっぱいになった棺です。

それでも、ご両親は涙を浮かべながら、

「綺麗だね。綺麗だね。」と大切な娘さんに声をかけ続けていました。


いたたまれない悲しい気持ちが私の中に押し寄せます。

死は突然訪れることもあります。


心の準備ができない悲しみを受け入れなければならない時があることを、

私たちはいつも実感しながらその先をずっと考え続けていきます。


残された時間とは

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いつ、大切な人と会えなくなってしまうなんて、

誰もわかりません。

だから、一日一日を大切な人とたくさん笑って過ごしてください。

私たちが生きている今日は、

誰かが生きたかった明日かもしれないから。


日々出会えたことに感謝しながら、

大事な人たちを大切にして、

自分も大切にして、

毎日悔いのないように生きてほしい。

明日が来る約束は、明日にならないとわからないのだから・・・













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