『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に見る恋愛
時期を逸したこと甚だしいが、『ガンダムSEED FREEDOM』ネタである。
「必要だから愛するのではありません、愛しているから必要なのです!」
PVにも採用された、ラクスの名台詞である。
劇場でこれを聞いたとき、完全に偏見であるが「あ、マッチングアプリにケンカ売ったんだな」と思った。マッチングしたい相手の属性を入力して相手を探すというのは、つまりそれ以外の人を弾くことであり、正に「必要だから愛する」の類型である。ラクスの台詞はこれを否定しているように聞こえた(自分に言い聞かせているという側面もあったと思うが)。
しかし、冷静になって考えてみると、全ての恋愛が「必要だから愛する」から始まっているのではないだろうか。
恋人や配偶者がいる人は思い出して(いない人は想像して)ください。
あなたは何故、その人を選んだのですか?
顔が良いから? お金を持っているから? 一流企業に勤めているから? 親に言われたから?
そうしたある程度定量化できるものもあれば、「一緒にいると安心するから」といった理由もあるだろう。
ただ、理由があるということは、裏を返せばその理由がなければその人を選ばなかったということである(「人間なら誰でも良かった」という無差別通り魔的な理由は除く)。
そうして始まったとしても、共に時間を過ごすうちに他の人には代えられなくなり、「愛しているから必要」と言える状態になる(こともある)のである。
つまり恋愛には以下の2つのフェイズがあると言える。
・フェイズ1 必要だから愛する。
・フェイズ2 愛しているから必要。
ラクスにとって、キラとの恋愛はフェイズ2に移行した、言わばフェイズシフトしたものであり、そんな時にオルフェからフェイズ1のアプローチを受けても心動かされることはないだろう。上記台詞は「私にはキラがいるからあなたのことは眼中にありません」という趣旨であって、決してフェイズ1の恋愛を否定するものではないと考えられる。
フェイズシフトした恋愛は、例えば結婚等の節目によって結実し、当初の熱量は失っても、安定して動かない…というわけでもないのは、夫婦の3組に1組が離婚しているという昨今の事情から明らかである。
破局せずとも、体面や子供のことを考えて、「必要だから愛(しているフリを)する」とフェイズ1(もしくはそれ以前)に戻る、フェイズシフトダウンを引き起こしているということもあるだろう。
そうした状態であれば、フェイズ1のアプローチもまた届くこともあるのではないだろうか。
つまり、オルフェがラクスに対して本懐を遂げるには、ラクスとキラの恋愛がフェイズシフトする前か、フェイズシフトダウン(もしくは破局)した後でなければならない。ただ、ファウンデーションが蜂起するのはデスティニープランが忘れられていないタイミングである必要があったこと(オルフェとしても自分の素性を武器に迫りたいだろうから、ファウンデーションの蜂起と無関係にアプローチするのは難しいだろう)を考えると、ラクスとキラの恋愛が(ラクスが不安を感じていたとしても)フェイズシフト中で絶好調、バクゥのミサイルも70発は耐えられるぜといったタイミングでは、負け戦は確定である。可哀そうに。
まあ、オルフェがラクスに対して恋愛感情を抱いていたかは疑問だが。