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私のショートショートの書き方・解説 #3|ショートショートnote杯
こんばんは、戸画美角です。
まだ需要がありそうに感じるので、前回の記事からの続きです。
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今回は趣向を変えて、自由お題として書いた最初の3作品からです。
だんだん高くなるコップ
東と西のスイカ
立方体ゲーム機
自由お題のピックアップをやったので、その流れみたいな感じですね。
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自由お題にあたり
私は元々、#ショートショートnote杯 において固定お題の完走のみを目指していました。その理由は単純で『ショートショートnote』のカードを持っていなかったからです。
私の中で、超ショートショートは制限のある中で書くのが面白いという価値観があったこともあり、固定お題を完走しただけで満足してしまい、自由お題に取り組もうという気持ちは全くありませんでした。
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しかし、ショートショートnote杯の作品を読んでいる中、ある作品の見出し画像に目が止まりました。それが bow さんの作品である『フォークコップ』の見出し画像で、頭の中で「だんだん高くなる」と「コップ」が繋がったのです。
そして、「思いついてしまったものは、書かずにはいられない!」という気持ちになり、これが自由お題に取り組み始めるきっかけとなりました。 #ショートショートnote杯 の締め切りまで残り1週間というタイミングでした。
ちなみに上記のコメント欄にも書かれていますが、多くのカードの中から組み合わせてタイトルにするというのは十分にクリエイティブな作業だと思ったので、(偶然に被ることを除いて)他の作品からタイトルを拝借することはしませんでした。
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だんだん高くなるコップ
さて、bow さんの見出し画像の「だんだん高くなる」と「コップ」から頭の中をよぎったのは「あぁ、それって女性が怒りの感情を我慢するメタファだな」と言うことでした。
どこで見聞きしたのか覚えていないのですが、”怒りの感情を我慢する時に男女間では違いがある”という話を聞いたことがありました。
具体的には”コップに水が貯まる=怒りが貯まる”というメタファにおいて、男性は溜まった水を外に出す、女性はコップのフチを高くする、ことで怒りを我慢するという内容でした。
そこからふと「『だんだん高くなるコップ』の正体を最後で明かすような作品はどうだろうか?」と考え、本作の執筆を決めました。
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そんなわけでオチは”正体明かし”ということで決まりました。
その手段として、怒りを限界まで我慢したのに最後の(彼の余計な)一言で限界が訪れるというものでした。
コップに注がれ続けた怒りの感情は、バケツを引っくり返したように私の全身から溢れ出したのであった。
”バケツを引っくり返したように”という表現は、これまでの展開からの逆を狙った結果ですね。
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あとはそれほど難しくありませんでした。
怒りを”混濁した何か”と表現して、読者が「これはいったいどういう話なんだ?」と疑問・不安を持ちながら読み進められるようにしてみました。一種のミステリ・ホラーと言えなくもないかもしれません。
書き終えてみて、私の作品にしてはオチのキレ味が微妙にも感じたのですが、「自由お題だし、自由に書いてみるか」と思い、そのまま現在のような作品となりました。
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東と西のスイカ
本作もこれまでとは少し違った作品を目指しました。
これは「東と西の」と「スイカ」という単語から、「スイカって漢字では西瓜って書くよな」と想起し、『西瓜』の(あったかもしれない)語源を明かす物語にしてみようと書いたものです。
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そこから具体的に、国の内戦で勝利した「西側」の名前を冠して『西瓜』となったという物語を考えてみました。
これはシンプルで良いアイディアに感じましたが、他の人もオチが予測できる可能性が高いという点に危惧しました。ショートショートを読み慣れている人ほど、これは顕著であろうというのが私の予想でした。
そこで、南側を登場させて南瓜の語源も絡めたらどうだろうかと考え、「あぁ、やっぱり西瓜の語源というオチか」という感想を抱いた読者に対する二段階のオチにすることにしました。
このイベントで人気を博したスイカは、勝利した西を冠して名産品として諸外国に出荷されることになる。
西瓜の語源である。
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なお、品種違いによって失格となった南側の果物も後に名産品として出荷されることになる。
南瓜の語源である。
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あとはスイカを使った料理対決になるような構成を考え、南側の存在を読者に隠すために、南側は品種違いによる失格になった(ので舞台には登場しない)という設定を考え、現在のような形となりました。
余談ですが、スイカを使った具体的な料理名はGoogle検索で”フランス料理 名前”みたいなキーワードで検索した結果から適当に使用しました。
東側はスイカのカプレーゼ・スイカのパスタ・スイカジュース、対する西側はスイカのブルスケッタ・スイカのポトフ・スイカのシャーベット。
コメント欄にてりみっとさんも書かれていますが、自分で執筆していて「スイカのポトフってどう考えても不味いよな……」とは思ったのですが、「まぁ、負ける西側の料理にするならちょうどいいか」と考え、そのまま採用しました。
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立方体ゲーム機
これは完全に一発ネタな作品でした。
「立方体」と「ゲーム機」から『ニンテンドーゲームキューブ』というゲーム機の存在を思い出し、一発ネタでも書いてみるかと考えて書いてみたのが本作です。
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最初に思いついたのは『一言ネタ』と『Wikipedia引用』オチの2種類でした。つまり、「ニンテンドーゲームキューブ」という一言で終わりにするか、Wikipediaからの引用だけで終わりにするという内容でした。
しかし、一言ネタはすでに他の方の作品でも見ていましたし、Wikipediaからの引用だけではさすがにアレではないかと思い、メタ的なネタを扱ってみることにしました。
これを執筆する直前に、あめしきさんのメタを扱った作品を読んだというタイミング的な要因も大きかったように思います。
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あとはメタのお決まりのような感じでしたね……以前に執筆した『アリスとボブ』で扱ったのと同じネタでした。
なお、タイトルの意味づけをそれっぽくするために、登場人物にそれっぽいセリフを言わせてみました。
「その立方体のように四角い頭を丸くして考えてみたらどうだい? これはそういう発想力が求められる……ゲームみたいなもんさ」
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しかしながら読み直して思うのは、『一言ネタ』か『Wikipedia引用ネタ』だけの方が一撃必殺感があってよかった気がする……ということです。
まぁこうやって反省するのも面白いということにしておきましょう。
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あとがき
そんわけで自由お題の3作品について、アイディアの源泉やどうやって書いたのかの解説でした。
うーん、そろそろマンネリ化してきたようにも感じますし、需要も無くなってくる頃でしょうか。
もし、「次回も読みたいぞ!」という方がいましたらスキ・コメントなど頂ければ幸いでございます。
ー了ー
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