高校野球の複数投手制について思うこと
こんにちは、新しくnoteを始めてみました。
「むかい」と言います。主に記事は高校野球、たまにプロ野球のことについてのものになると思います。
さて、第1回目のテーマは「高校野球の複数投手制」です。
1 複数投手制とは?
そもそも論として複数投手制の定義ですが、ここでは「1つの大会において複数の投手を登板させて戦う」としましょう。例えば、一応ベンチ入りメンバーの中で投手ができる選手は何人かいるけど、試合では(ほぼ)エース頼みというのは、ここで言う複数投手制には含みません。
2 複数投手制の利点
①怪我の予防
球数を抑えることが故障の予防につながるというのは、科学的なエビデンスも出ていますし、広く認知されています。複数投手制を導入することで、1人あたりの球数は必然的に抑えられるので肩肘の故障のリススも減ることになるでしょう。
例ー健大高崎のケース
2012年春のセンバツに出場した健大高崎は、ベスト4入りを達成。この大会でエース・三木は準々決勝は登板を回避しましたが、それ以外の3試合は1人で投げ抜きました。しかし夏の県大会が開幕する前にケガが判明しました。結果4回戦で伊勢崎清明にコールド負け。それ以降、青栁博文監督は投手ごとの役割を細かく定め継投によって勝ち上がるというシステムを採用しました。
②相手打者の目先を変える
2巡目、3巡目と打線が回っていく中で当然相手の打者は目が慣れてきます。そこで投手を交代することで、打ち込まれるのを防ごうというのが狙いです。特に相手校に2番手以降の投手のデータが無い場合、その効果は高くなります。
例ー2018年近江のケース
2001年夏に準優勝した時など、元々継投志向のある近江ですが、2018年夏の甲子園の継投策についてここではピックアップします。初戦の智辯和歌山との試合で、松岡(右サイド)→林(左軟投派)→佐合(右速球派)→金城(左速球派)とタイプの違う4投手をつぎ込みました。交代のタイミングは概ね打者一巡といったところでしょうか。リードした有馬も良かったですが、相手に隙を与えない継投も見事でした。戦った4試合はいずれも継投策を取りましたが、先述の林への負担が大きかったことから、ケガ予防というよりは勝ちのための継投と言えます。
3 複数投手制の問題点
①2番手以降の質
これは特に部員の少ないチームで問題になります。公式戦における球数制限について批判的な意見を持つ人の多くは、この点について心配しています。練習すれば、まあストライクは入るようにはなりますが、それで試合が作れるかは別問題でしょう。
例ー2017年福岡大大濠のケース
2回戦の滋賀学園戦が再試合となり、その翌日が準々決勝。投球過多による疲労が懸念された絶対的エース・三浦が先発を回避しましたが、投手陣が報徳学園打線に打ち込まれ、無念の敗退となりました。報徳学園打線が強かったのもありますが、2番手以降の投手の質というのが複数投手制の大きな課題であることが分かった試合となりました。(法政大での三浦酷使はここでは見ないフリ)
②継投のタイミング
負けたら終わりのトーナメントにおいて、とても難しい問題です。世間の中には、継投がハマれば名将、裏目に出れば無能扱いという結果論でしか見れない人がいて、それを気にしている監督も一定数いるでしょう。選手の特性・体調やブルペンでの様子を見てタイミングを判断するのに越したことはないですが、いざ投げてみるまで分からないという投手もいるので悩ましい問題です。
例ー2014龍谷大平安のケース
センバツを制し、夏の京都大会を勝ち抜いて夏の甲子園に戻ってきた龍谷大平安は優勝候補に挙げられていました。当時、元氏→高橋→中田という必勝リレーを誇っていた龍谷大平安でしたが、初戦の春日部共栄戦でまさかの事態が起きました。先発した元氏が1アウトしか取れずに降板。序盤の失点が響き、龍谷大平安は初戦敗退となりました。「代えるのが遅い」という声が挙がりましたが、プレーボールの段階から2番手投手がブルペンで肩を作る程度の先発なら、最初から出てもいないでしょう。ここで言いたいのは、いつも継投が上手くいくかは分からないということです。
4 結論
個人的には安易な球数制限に対しては反対ですが、複数投手制を採用することは大いに賛成です。1人の絶対的エースに依存すると2番手以降の投手は「どうせ俺は登板機会ないから」となって、いざ登板した時に思うようなパフォーマンスができません。日頃から本番あるぞと思わせることで、2番手以降の質という面はある程度ですが改善されるものだと考えています。ただ、継投のタイミングはどうにもなりません。投手を潰すなと言いながら、起用・継投ミスで負けた場合に采配を叩く人が減らなければ根本的解決とはならないでしょう。(まあ中々減らないと思いますが)