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#27 めぐる台所 | とべちゃんの副音声

努めて生活にエネルギーを注いでみると「あぁ、私ってこれが好きなんだ」と実感した。

平日の夜に台所に立つ。冷蔵庫の残り物とごはんとお味噌汁で、簡単に夕飯の支度をする。そういえばお漬物がある、いちごもまだ残っている、傷む前に野菜をお味噌汁に足す、冷凍庫からいつのものかわからないトンカツを発掘する、そんな風に次々と何かが加わって、食卓はいつの間にか盛りだくさんになる。

ごはんを食べ終わる頃にお湯をわかして、食べ終わったごはん茶碗で熱いお茶をすするのが至福の瞬間。

実は冷蔵庫には、週末に作ったチーズケーキもある。お正月に残った切り餅にあんこといちごを挟めば、いちご大福になる。

何もないと思っていたおうちごはんは、かなり豪華なごはんに。得した気分になる。

腹ごしらえをして元気が出たら、冷蔵庫にある残りの食材で、明日のお味噌汁を作る気力も湧いてくる。

「次に使い切らなきゃいけないもの、何だっけ?」

こうして私の短い平日の夜が終わる。

一人暮らしには少々多めの醤油やお砂糖、ちょっとマニアックなナンプラーの小瓶なんかが底をついて、新しく買い足すときに充実感を覚える。

めぐる台所。
そこにある食材や調味料を、上手に使い切ることができて、新しい日付のものに移り変わっていく。

そうやって循環して、新しくなっていく台所は新鮮な気がして、すごくすき。