見出し画像

初めての。昔の話 海外編8

メコン料理を堪能した我々はまたぼーっとしていると寺院でのお祭りが始まるということでそちらに向かうことになった。探しに行ったグループは河岸にいて、土の道を歩いていくと離れ離れになったグループとも再会した。
みんなで何やってたの?などと話をした。

そして、どんどん日は落ち寺院にお参り。
アンコールワットのような素晴らしい寺院にお参りしようと思い階段を上がっていくと狭ーい階段に蛇が1匹鎮座マシマシていた。
綺麗にトグロを巻いている、どう見ても毒蛇だと思う、、、。もう、気分は川口浩探検隊!ジャングルの奥深くの寺院に蛇が!!川口浩が大好きな自分はもう楽しくなっちゃって、ちゃんとお参りしたのかも覚えていない、、、。茶色の袈裟を着たお坊さんがいたから、ちゃんとお参りしたのだと思う。
暗すぎて、明るい時に見たかったな。とかそんなことを思っていたと思う。
たくさんの電球がぶら下がってはいたものの、まだ町には電気は来ていない。発電機を使って電気を起こしているらしい。

果たして、影絵をやるはずの我々の時間がやってきた。尺八を吹ける先輩がいて、広場に集まったお客様に向けて演奏することになっていた。尺八持ってきていた先輩、ぐっしょぶ!!
通訳さんが拡声器のマイクで、影絵ができないことを説明している。すんごく長い説明。それを真剣に聞く村人たち。すんごくいっぱい集まっていた。どこに?!どこからこんなに集まってきたの??っていうぐらい。
聞いたところによると、みなさん、近隣の村から何時間もかけて、真っ暗な森を歩いてきたらしい。スケールの違いに驚いた。

尺八の演奏が始まると、みんな真剣な眼差し、温かい眼差しで聞いていた。
音楽って素晴らしいーー。人の心をほんの少しの時間で掴めるんだなぁーって思っていた。
演奏が終わり、先輩にあたたかい拍手が送られる。
通訳さんに、ずっと話してたけれど、何話してたの?って聞いたら、「尺八の由来の物語をみんなに聞かせていたんです!」
えーー!日本人の自分もそんなこと知らないのに、すごい勉強家!尊敬!!
いや、カンボジア人であの時代に日本語ペラペラなのがほんとにすごい。尊敬でしかない。
と思って「すごい、そんなの知ってるなんて!」と言ったら、「いや、適当に今、物語を作りました!って。」どんな内容であったか忘れてしまったのですが、日本の昔話のような寓話のような家族のお話だった。
そんな嘘の話を澱みなく、ペラペラと大勢の前でかたって、聞いてる人も信じていた。
あの演奏を見つめる眼差しは、そういうことだったのか、、、。
みんな嘘の情報を信じて聴いていたのだった。
あああ、いつか嘘の情報とわかる日が来るのだろうか、それとも何も知らずにこの世を去って行くのであろうか。でも、嘘でもみんなが何かを感じて心に何かを灯したのならよかった。先輩も真剣に演奏してたし。純粋な村の方達、ありがとう!嘘も方便とはよく言ったものだ。そのことを体感でき、さらに真剣に観入ってくださっていたみなさんを観察できてよかった。あの素朴な眼差しは、心の汚れた今の自分にできるだろうか?いや、すぐ信じるから、できそうだ。死ぬまでそういう自分で居たい。

また場所を移してご飯会場。ここもまたたくさんの電球がぶら下がって簡易的な、イスにテーブルが並んでいた。
中華料理的なおかずが何品か次々に出てくる。
大きなお椀からお皿にご飯をよそって、おかずを乗せて食べるシステム。
もうその頃にはメコン料理だろうがなんだろうが出てきたものはいただく気持ちができていた。メコン川料理をありがたくいただいた自分たちには怖いものはもうない、洗礼とはすごいものでたったの数時間でなんでも受け入れられるようになっていた。ありがとうメコン川。(今も、多分世界のどこに行っても、屋台でもなんでも食べられるのは、メコン川のおかげ)
お肉と野菜炒め的なものがあったのですが、お肉は好きじゃないのですが、脂身はほとんどなくて、硬めのお肉。お味は醤油っぽい感じのあっさり。
でも、みんなで「これなんの肉だろうね、臭みもないし、初めて食べる味だねーー」とか言っていたら、「キャイーーーン」遠くの方で犬の悲鳴が聞こえました。
その瞬間、みんなで沈黙してしまいました。
あの肉がなんの肉だったのか追求するのはやめました。
戦争体験者のおじいちゃんがいつも「赤毛の肉は美味しい」と言っていた言葉がよぎりました。違うかもしれないけれどあのあたりは食べる文化があるようです。

そして、寝るために船に戻る道、、、。
あの景色、一生忘れないと思います。
電気が一つもなくて真っ暗、月の灯りだけが便り。満月に近いその青白い月の灯りの明るいこと。普段明るいところに住んでいるから気が付かなかった。月ってこんなに明るいんだ!そのことが知れただけでも素晴らしい。
北海道出身で家の近所、学校のグラウンドに寝っ転がれば山盛りの流れ星と星を見れたあの景色よりも真っ暗。
その中を村の方たちは、スイスイ歩いて行く。ほんとに目がいいんだなぁーーーって思いました。

船の上でほぼ野宿。だけど、よく眠れました。虫の声、川のさざめき、生暖かい空気の心地よさ。南国、、、。日本じゃないところに来ている自分。

ただ一つ。渡航前にワクチンを一つも打ってこなかった、、、、。マラリア、狂犬病、日本脳炎(農園だと思っていたおバカな自分 )
だって、こんなにもこんなにも冒険だと思わなかったんだもん。ま、お金のない自分たちはみんな打って来なかった。
そうしてエキサイティングな夜は更けて行った。

つづく


いいなと思ったら応援しよう!