独白(ショートストーリー)
僕にとっての人生は退屈だった。
何一つ不自由もないし友達もいた。
だけど僕は社会に馴染めなかった。
21の春、僕は屋上のフェンスに手をかけながら語った。
単純に人間関係という物に疲れてしまったのかもしれない。
僕らはヒトという生物の枠組みから外れて不完全な人間たちが作り上げた、社会の中を生きている。
よく、三大欲求なんて言うが
僕らは本来、食べ物と寝る場所と子孫を残すパートナーがいる。
それだけで十分であって、欲というよりかは僕らの中に眠っている生物としての本能なのにまるでそれを悪とするような社会があり、自己実現欲求や承認欲求があるやつを努力家なんて呼んだりして
実力はなくとも周りから自然と認められたりする。
そんな世界に馴染めなかった。
生きている意味なんてないのは
初めから分かってる。
アインシュタインもダ・ヴィンチも
後世に何かを残したとしても
僕らが死んでしまえばそれで終わり。
何かを残すことに意味なんてないんだ
考えることも、形にすることも
全てに終わりがある。
所詮人間が作り上げた世界も
この森羅万象の自然の中にある時点で輪廻転生の如く命が廻り行くだけ
青い海も静かな木々もみんな自然の中にあり全部意味なんてない。
僕が死んでも何も無い。
泣いてくれる人も喜ぶ人もいない。
いや、もしかしたらいるかもしれない
でもそれを知る術すら、もう時期消えてしまう。
さよなら。