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増える介護事業者の倒産 苦境の訪問介護・・・という記事の紹介です。

今日は、中学生の職場体験で事業所に2人の学生さんが来てくれました。
介護の仕事のイメージを聞いた所、悪いイメージはない、との事で、いわゆる3Kの話もしましたが、聞いたことがない、との事でした。

人の役に立てるいい仕事だと思う、と介護の仕事のイメージを教えてくれました。

この状況に加えて業界全体の処遇改善が進めば、介護職不足の改善に効果あると思いました。これは経営者としての腕の見せ所ですね。ワクワクしますね。

さて、そうは言っても現実は厳しいです。

いま介護事業者の倒産が相次いでいますことし1月~8月の倒産件数は114件と、前年同期比で4割以上増えています

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グラフの傾斜だけ見てみると、21年にぐっと引き下がりましたが、その後増加傾向のまま経過して24年で元の右肩上がりの傾斜の状況に戻ったような感じです。
全体的に倒産件数は増加傾向ですね。これに歯止めがかかりません。
歯止めがかからないというと、15年の頃から右肩上がりなので、もう10年程度も倒産が右肩上がりで増えているという事なので、介護サービスがどんどん必要になっていく状況の中で事業所の統廃合が進んでいってしまっているという状況なのでしょう。

各事業所の経営もいろいろあると思うのですが、非常に経営が難しい状況が続いているという事なんだと思います。

基本報酬2%程度引き下げ 利益率は低く…

この高齢女性に訪問介護のサービスを提供している介護事業所は、利用者の自宅20軒ほどを回っています。

いま経営に影響を及ぼしているというのが、2024年に訪問介護の基本報酬が2%程度引き下げられたことです

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弊社でも1日あたり25件くらいの訪問件数があります。
事業所の規模にもよりますが、弊社のような従業員4人程度の事業所だと、このくらいの件数を回ってようやく利益率が2%くらい、という状況です。
ちなみに、2名いるサービス提供責任者の年収は450万円(賞与なし)くらいですので、平均よりは多く支払っていると思います。

介護求人ナビより

現場経験2年目のパートヘルパーさんには時給1100円の支給です。
本当は、もう少しお給料を全体的にアップしたいのですが、経営体力的に難しいので、現状ではこれが限界かなぁ。人件費率が75%くらいですからねぇ。

ドクターメイトより

サービス付き高齢者向け住宅などは全体の利益率を押し上げていますが、一軒一軒まわる訪問介護は移動や待機の時間がかかるため、効率的に働くことが難しく、利益率が低いのが実情です。経営環境が違っても同じ訪問介護と位置づけられ、基本報酬が引き下げられたのです。

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実際、効率的にサービスを提供できる環境をつくって利益を上げる事は、経営の視点では当然あるべき追求の仕方で経営努力の結果です。
その為の設備投資などもしているわけなので、それはそれで評価されるべきですが、なぜこれがダメなのかというと、過剰なサービスの提供の温床になっているからです。中には真面目にきちんとやっている会社もあります。
僕が以前勤めていた会社でも、きちんと必要なサービスのみ提供していたし、他の法人のサービスしか使ってない入居者さんも居られました。
当然経営的には苦戦していたので、経営会議では施設閉鎖を検討すべき、という意見も出たりしていました。

結局、民間の経営競争にさらされているのでそういう事なんですよ。
利益を出せなければ撤退するんです。利益を出さないと生き残れないので、そういう事で利益を出しやすい併設型が注目されるわけです。
当然ですよ。

問題なのは、これの状況をここまで放置してきた介護保険制度にあると思います。前回と今回の改正でメスは入りましたが、中途半端なので今後もこういうのは続くでしょう。

思い切って別の区分として報酬設定をしなおすのが一番いい方法だと思います。

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取材した介護事業所では、売り上げの80%以上を人件費に回さざるをえない状況だといいます。

介護事業所代表 辻本きく夫さん
私の給料は月に8万円くらい。そこに給料をちゃんと出したら当然赤字になってしまう。経営者がそんなに給料をとらないで回している事業所なんかいくらでもある

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人件費率が80%を超えてくると赤字は必至ですね。
これまで経営に関わったどの訪問介護事業所でも、人件費率が80%を超えると黒字化は難しかったです。

地域に展開する訪問介護事業所の経営は本当に厳しいのが、この経営者のコメントからもよくわかります。

代表の辻本さんは来年75歳になります。自身の高齢化を理由に、ことし6月いっぱいで自分の事業所を閉鎖して、利用者を受け継いでサービスを提供してくれるほかの事業者を見つけようと考えていました。しかし、いまもほかの事業者が見つからず事業を続けざるをえない状況です。

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介護事業所のM&Aは結構広がってますね。
地域の事業所でも事業所自体はそのままで法人名が変わるというケースがありました。

介護行政に詳しい 淑徳大学 総合福祉学部 結城康博 教授

地域型の小規模事業所は経営者のやりがい、社会的責任感で事業を運営していた。収支が黒字化できるような施策に転じないと、ますます地域型の訪問介護事業所は少なくなってしまう

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黒字化、利益を追求するとどうしても到達してしまうのが、利用者さんを一か所に集めて移動時間をかけずに効率よく訪問する、という手法です。
訪問系はどうしてもそうなりますよ、効率化を突き詰めた先は、どのも同じゴールに到達します。

こうした状況について厚生労働省は「今回の報酬引き下げがどのような影響を与えているか、9月から調査を始めていて、現場の状況を把握、分析していきたい」としています。

高齢者の「住み慣れた家で暮らしたい」という願いにどう向き合っていくかが問われています。
(経済番組 村上由和)
【2024年10月1日放送】

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とにかく今回のアンケート調査を根拠に、今後の政策や報酬設定にメスを入れていくはずなので、地域の訪問介護事業所ほど、経営の実態をきちんと報告すべきですね。これもしないで文句を言うのは違うと思います。

住み慣れた自宅で最後まで・・・という、一見当たり前に思える希望なんですけど、現実はそんな甘いものではなく、自宅で最後を迎えるというのは本当に難しい現状です。

そして、入所したくても入所先が見つからない。
住み慣れた地域にはなくて親戚も誰もいないような遠方にしかない、という状況にもなっていくと思います。

地域のヘルパー不足というのは、そういう状況を加速させますし、現時点で上記のような自宅での最後を望んでも難しい現状はありふれた状況なんです。


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