局所進行非小細胞肺がんで、原発巣には体幹部定位放射線治療、リンパ節には化学放射線療法を行うことは可能か?
Heinzerling JH et al. Pract Radiat Oncol. 2023. PMID: 37406774
<背景と目的>
・早期非小細胞肺がんでは体幹部定位放射線治療(SBRT)が有効性の高い治療法として用いられているが、局所進行非小細胞肺がんでの研究は行われていない。
・リンパ節転移陽性の非小細胞肺がん患者を対象として、原発巣に対しては体幹部定位放射線治療(SBRT)を行い、その後にリンパ節転移に対する化学放射線療法を行うという第2相試験を行った。
・今回の原稿は、今回の試験および今後行われる第3相試験であるNRG Oncology-LU-008で用いられた計画技術の手引きであり、患者への照射線量と毒性との関連性の報告である。
<対象と方法>
・今回の研究は多施設共同の単アーム第2相試験で、対象はIII期または切除不能II期非小細胞肺がん
・原発腫瘍に対して体幹部定位放射線治療(50-54Gy/3-5回)の照射を行った後に、転移リンパ節に対して60Gy/2回の化学放射線療法を行った。
・適応のある患者に対しては、放射線治療後にデュルバルマブによるアジュバント免疫療法を12ヶ月まで行った。
<結果>
・2017-2022年の期間に60例の患者を登録した。
・プラン技術は主に体幹部定位放射線治療および化学放射線療法ともVMAT(volumetric modulated arc therapy)によるものであった。
・5Gy以上が照射される肺体積の割合(lung V5) >70%とグレード2以上の肺臓炎との相関を認めた。
・10Gy以上が照射される肺体積の割合(lung V10) >50%とグレード2以上の呼吸器毒性との相関を認めた。
・3例(5%)にグレード3以上の肺臓炎の発生を認めた。
・食道の平均線量 >20Gy以上、60Gy以上が照射される食道体積の割合(V60)>7%、食道1ccに対する照射線量(D1cc)>55Gyとグレード2以上の食道炎との相関を認めた。
・1例(1.7%)にグレード3の食道炎の発生を認めた。
<結論>
・原発巣に対して体幹部定位放射線治療(SBRT)を行い、その後にリンパ節転移に対して従来の化学放射線療法を行うことは、説明したような計画技術を用いれば可能。
・今回の第2相試験における放射線関連性の毒性は低かった。
・今回の原稿では、最近開始されたNRG Oncology LU-008 第3相試験において検討がなされるレジメンのガイドラインとなる。