胸腺上皮性腫瘍に対する放射線治療
Falkson CB et al. J Thorac Oncol. 2022. PMID: 36031176
I期
・術後放射線治療や術前(ネオアジュバント)放射線治療は推奨されない。
II期
・ルーチンでの術後(アジュバント)放射線治療は推奨されない。
・局所再発リスクが高い場合には放射線治療が考慮されるべきである。
・局所再発リスクには被膜浸潤、切除断端近接、WHO grade B type、心膜癒着がある。
・放射線治療には急性期および長期毒性のリスクがあり、二次発がん(4)や冠動脈疾患(5)の発生リスクに注意を払う必要がある。
・特に若年の患者では、リスクとベネフィット説明し、治療を行うかどうかを話し合う必要がある。
Resectable / potentially resectable III期
・術前(ネオアジュバント)化学放射線療法が広く行われている。
・術前(ネオアジュバント)化学放射線療法の標準治療法は確立されていない。
・手術に伴う合併症や手術関連死を最小限に抑えながら、切除可能性を最大限に改善し生存率を改善する適切なネオアジュバント治療のレジメンは確立されていない。
・シスプラチンを含む化学療法レジメンが妥当な選択肢として推奨される。
・放射線治療と化学療法の適切な順序は確立されていない。
・治療体積が小さい場合には、同時化学放射線療法が妥当な治療選択肢として推奨される。
・病変の腫瘍体積があまりに大きい場合には、化学療法後に放射線治療を行う逐次併用は妥当な治療選択肢として推奨される。
・放射線治療を行う前に腫瘍摘出術を行ってもよい。
・アジュバント放射線治療は広く行われており、推奨される治療である。
・アジュバント化学療法を考慮してもよい。
切除不能(unresectable)III期
・手術が適さない病変の場合には、同時/逐次化学放射線療法が推奨される。
・切除不能の定義には議論があるが、気管や大きな動脈 および/あるいは心臓への浸潤があり、シスプラチンをベースとした化学療法に奏効しなかったものと定義されることが多い。
IVA期
・III期病変の推奨をIV期にも同様に適応することが可能である。
・Resectable / potentially resectable IV期では、ネオアジュバント治療後、切除マージンを担保しながら腫瘍を全摘出する手術を考慮する必要がある。
・胸膜や心膜転移が全て切除可能な場合にのみ手術が推奨される。
・ネオアジュバント化学放射線療法もIVA期の治療選択肢である。
・シスプラチンをベースとした化学療法レジメンを用いることが妥当な治療選択肢である。
・アジュバント化学放射線療法は治療選択肢である。
・切除不能なIVB期では、特に生命を脅かすような病態では放射線治療を行うことは適切である。
再発病変
・放射線治療単独または化学療法を行うことは適切であろう。
【関連】
・日本肺癌学会編 肺癌診療ガイドライン 2021年版
https://www.haigan.gr.jp/guideline/2021/3/2/210302020100.html
・日本放射線腫瘍学会編 放射線治療計画ガイドライン 2020年版 胸部
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/guideline/2020/04chest.pdf
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