超中枢性肺腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)ー システマティックレビュー/メタアナリシス ー

Yan M et al. Lung Cancer. 2023. PMID: 37393758

<背景>
・早期肺がんや肺転移に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)は有効で安全な治療法である。
・しかしながら、超中枢性の肺腫瘍では安全性に関する配慮が必要である。
・今回、システマティックレビューとメタ解析を行うことにより、現時点での安全性と有効性データをまとめ、ISRS(International Stereotactic Radiosurgery Society)からの臨床診療における提言を行う。

<対象と方法>
・データベース(PubMedおよびEMBASE)を用いて、超中枢性肺腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)に関するシステマティックレビューを行った。
・局所制御(LC)および/あるいは毒性を報告している研究を組み入れた。
・治療病変数5個未満、英語以外の報告、再照射、リンパ節腫瘍、超中枢性腫瘍との区別が困難なものは除外した。

<結果>
・602研究が同定され、これらのうち27研究を解析対象とした(前向き観察研究:1研究、後ろ向き研究 26研究)。
・合計で1,183病変に対する治療が行われていた。
・いずれの研究でも「超中枢性」は、計画標的体積(PTV)と近位気管支樹(PBT)との重なりがみられることと定義されていた。
・主な線量分割は、50Gy/5回、60Gy/8回、60Gy/12回。
・プールされた局所制御率は、1年 92%、2年 89%。
・メターレグレッション解析では、生物学的等価線量(BED10)と1年局所制御との有意な相関を認めた。
・合計で109のグレード3-4の毒性イベントが報告されており、プールした発生率は6%で、主な毒性イベントは肺臓炎であった。
・73例が治療に関連して死亡しており、プールされた治療関連死亡率は4%で、主な原因は喀血であった。
・抗凝固療法、間質性肺疾患、気管支内腫瘍、分子標的薬との同時併用が致死性の毒性のリスク因子であった。

<結論>
・超中枢性肺腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)後の局所制御成績は許容できるものであったが、一方で重篤な治療関連毒性リスクが認められた。
・適応にあたっては、慎重な患者選択が求められ、併用療法や放射線治療のプランニングにおける配慮が必要。

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