肛門がんに対する化学放射線療法 ー JROSG 10-2 ー
Nemoto K et al. J Radiat Res. 2023. PMID: 36280895
<目的>
・今回の研究では、肛門管扁平上皮がん(SCCAC)に対する化学放射線療法の有効性を評価した。
<対象と方法>
・肛門管扁平上皮がん患者(T1-4N0-3M0)
・5-FU(800 mg/m2/day, 96時間点滴)とマイトマイシンC(MMC, 10 mg/m2 ボーラス投与)を併用
・放射線治療:3次元原体照射(3D-CRT)または強度変調放射線治療(IMRT)
・two-step法:領域リンパ節に対する予防照射:30.6Gy/20回、原発腫瘍と転移リンパ節:59.4Gy/33回
・標的内同時ブースト法:領域リンパ節に対する予防照射:49.5Gy/33回、原発腫瘍と転移リンパ節:59.4Gy/33回
・主要評価項目:2年無病生存(DFS)
・副次評価項目:2年全生存(OS)、局所領域制御(LC)、人工肛門回避生存(CFS)、有害事象
<結果>
・経過観察期間の中央値:33.3ヶ月(範囲:16.2-65.8)。
・31例が登録(I期 13%、II期 32%、IIIA期 16%、IIIB期 39%)
・30例は強度変調放射線治療(IMRT)により治療が行われた。
・27例で完全奏効(CR)が得られた。
・2年無病生存率:77.4%(95% CI 58.4-88.5)
・2年全生存率:93.5%、局所領域制御率:83.9%、人工肛門回避生存率:80.6%
・1例にグレード3の晩期有害事象を認めたが、グレード4以上の有害事象の発生を認めなかった。
<結論>
・無病生存成績結果は良好で、晩期の有害事象発生率は低かった。
・肛門管扁平上皮がんに対する5-FUとマイトマイシンC(MMC)併用化学放射線療法は有効。
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