早期声門がんに対する放射線治療 ー 寡分割照射 vs. 通常分割照射 ー

Kodaira T et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2023. PMID: 37414261

<背景>
・JCOG0701試験は、多施設共同第3相ランダム化比較試験で、早期声門がん(GC)に対する通常分割照射(SF)に対する加速照射/寡分割照射(Ax)の非劣性証明試験で、試験の主要結果は以前に報告されている。
・主要結果においては、通常分割照射(SF)と比較して、加速照射(Ax)の3年無増悪生存と毒性は同様の結果であったが、統計学的には加速照射(Ax)の非劣性は証明されなかった。
・JCOG0701試験の長期経過観察結果を評価するため、付随研究としてJCOG0701A3を実施した。

<対象と方法>
・JCOG0701試験では、370例の患者が通常分割照射(SF)(66-70Gy/33-35回)(184例)と加速照射(Ax)(60-64.8Gy/25-27回)(186例)に無作為に割り付けられた。
・今回の解析のデータカットオフは2020年6月。
・全生存(OS)、無増悪生存(PFS)、中枢神経虚血(CNSI)を含む晩期有害イベントを解析した。

<結果>
・経過観察期間の中央値は7.1年(範囲:0.1-12.4)
・5年無増悪生存率:通常分割照射(SF) 76.2%、加速照射(Ax) 78.2%。
・7年無増悪生存率:通常分割照射(SF)72.7%、加速照射(Ax)74.8%
 ・無増悪生存成績は両群間に目立った差はみられなかった(p=0.44)
・5年全生存率:通常分割照射(SF)92.7%、加速照射(Ax)89.6%。
・7年全生存率:通常分割照射(SF)90.8%、加速照射(Ax)86.5%。
 ・全生存成績は両群間に目立った差はみられなかった(p=0.92)。
・プロトコール治療が行われた患者366例において、8年累積晩期有害イベント発生率は、通常分割照射(SF)11.9%、加速照射(Ax)7.4%(HR 0.53, 95% CI: 0.28-1.01, p=0.06)。
・グレード2以上の中枢神経虚血は、通常分割照射群(SF)に多い傾向がみられた(4.1% vs. 1.1%, p=0.098)。

<結論>
・長期経過観察結果では、加速照射(Ax)の有効性は通常分割照射(SF)と同程度で、安全性は良好な傾向がみられた。
・治療時間や費用、労力を最小限に抑えることが可能であることから、早期声門がんに対しては加速照射(Ax)が適している可能性がある。

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