微小浸潤性乳管がん (DCIS-MI) に対する乳房温存療法 vs. 乳房切除術

Xia LY et al. Sci Rep. 2022. PMID: 36418384


<背景>
微小浸潤を伴い乳管がん(DCIS-MI, ductal carcinoma in situ with microinvasion)は予後の良好な病変
乳房温存手術+術後放射線治療(BCS+RT)と乳房切除術(MT)はいずれも治療選択肢
しかしながら、これらの治療のうちいずれの治療が良いかは不明


<対象と方法>
SEER (Surveillance, Epidemiology and End Results) databaseを用いた解析を施行
5,432例の微小浸潤性乳管がん(DCIS-MI)患者を同定
治療法により乳房温存療法群(BCS+RT)と乳房切除群(BT)に患者を分けて生存成績を比較


<結果>
傾向スコアマッチング(PSM)前の比較では、全生存 および 乳がん特異的生存の成績は乳房温存療法(BCS+RT)で良好であった。
傾向スコアマッチング(PSM)後の比較においても、全生存 および 乳がん特異的生存の成績は乳房温存療法(BCS+RT)で良好であった。

全生存: ハザード比 0.676 (95% CI 0.540-0.847, p<0.001)
乳がん特異的生存:ハザード比 0.565 (95% CI 0.354-0.903, p=0.017)

10年全生存割合:乳房温存療法(BCS+RT) 92.1% vs. 乳房切除術(MT) 89.1% (log-rank p=0.001)
10年乳がん特異的生存割合:乳房温存療法(BCS+RT) 98.2% vs. 乳房切除術(MT) 97.4% (log-rank p=0.016)

様々なサブグループ解析も行ったが、いずれのサブグループでも乳房温存療法(BCS+RT)後の生存成績は、少なくとも乳房切除術(MT)に劣ってはいなかった。


<結論>
微小浸潤性乳管がん(DCIS-MI)患者において、乳房切除術(MT)と比較して、乳房温存療法(BCS+RT)後の生存成績が優れていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?