ニューヨーク州司法試験の受験記② 【予備校について】

1 はじめに

本記事は以下の記事の一部という位置づけです。まずは以下の記事を読むことをお勧めします。
ニューヨーク州司法試験の受験記①【目次】

2 予備校について

予備校は必須か

実際にBarbriを使用した経験から述べると、予備校は必須ではないと考えます。以下のメリット・デメリットを踏まえて判断されるとよいかと思います。筆者はBarbriを利用しましたので、以下の議論にはBarbri特有の内容が含まれます。Kaplan、Themisは利用していませんので語ることができません。

予備校(Barbri)を利用するメリット

  • 以下のメリットが考えられます。

    1. ビデオ講義でインプットができる

    2. Barbri模試を通じてMBEの相対的順位が把握できる

    3. MEE・MPTの採点を通じて出来具合を把握できる

    4. カリキュラムがあるのでペースメーカーになる

    5. BarbriのMEE・MPT問題集は比較的質が高い(なお、MBE問題集と講義アウトラインはイマイチ)

    6. Barbriは過去の受講者が多いので情報が豊富

メリットの考察

  • 上記1~6についての筆者の意見は以下のとおりです。結論としては、いずれも予備校が必須となるほどのメリットではないと考えます。

    1. インプットを日本人ノートで済ませて、ビデオ講義を一切受講しない場合はメリットになりません。知識を聞いて理解するタイプの方にはメリットになると思います。

    2. 自己採点の正答率で大体の出来具合はわかるので、あまり大きなメリットではないと考えます。模試が中間目標になるので、モチベーション維持に繋がる効果はあるかもしれません。

    3. Essayの相対的な出来具合を把握しておくのは重要と考えますが、自己採点や勉強仲間との比較で代替可能と考えます。あくまで感覚ですがBarbriの採点者のレベルはそれほど高くなく、採点基準から少しでも外れると点がつかないことがあります。

    4. 筆者はカリキュラムを無視したのでメリットにはなりませんでした。特に司法試験の受験経験があり、自身で勉強計画を立てられる方には不要と考えます。

    5. Barbriが必須となるほどの質ではなく、他で代替可能と考えます。

    6. 今はBarbriを使用していない合格者の受験記もたくさん手に入ります。やはりBarbriが必須となるほどのメリットではないと考えます。

予備校(Barbri)を利用するデメリット

  • 費用が高いという点に尽きるかと思います。なお、BarbriのMBEの演習問題はオリジナル問題であり本試験と傾向が異なるため、使えないという意見もあります(詳しくはこちらの記事ご参照)。また、Barbriの講義アウトラインは日本人ノートで代替できるため使用しない方が多く、ビデオ講義も受講しない方が多いです。Barbriは高額な受講費用に比してメリットが少ないと言えるかもしれません。

  • なお、KaplanとThemisはBarbriよりも受講料が安いらしいです。筆者はKaplanとThemisを受講していないので詳細は不明です。いずれも大手の予備校なので内容に大きな差はないのではと思いますが、Barbriに比べて日本人受講者が少ないため情報が少ないという懸念点があります。

予備校の要否についての結論

以上を踏まえると、所属先から補助が出るなど費用の点が問題にならない方、司法試験の受験経験がなく勉強計画の立て方に自信がない方や、講義形式の方が理解が深まる方は予備校を利用してもよいのではないかと思います。それ以外の場合は、勉強仲間と勉強する(ペースメーカーになる、相対的な出来具合が分かる)、BarbriのテキストだけeBayで購入するなどの方法で代わりが利くため、高額な予備校は必須ではないと考えます。筆者は諸事情を考えてBarbriを選びました。

Barbriのコースはどれにすべきか

  • ここでは、Barbriを受講することを決めた方を対象に、Barbriのどのコースを選ぶべきかという疑問に答えたいと思います。

  • Barbriのコースは、開始時期に応じてTraditional Bar ReviewとExtended Bar Prepに分かれます。前者はロースクール卒業後から、後者はロースクール在学中からBar対策を開始することを前提とするコースです。Extended Bar Prepは高額なため($6,000~)、Traditional Bar Reviewで十分と考えます。ロースクール在学中にNY Barの対策を始める場合、MBE対策はBarbriの教材がなくとも始められます。まずは日本人ノートを読んで、EmanuelやAdaptibarの問題を解いておくとよいのではないでしょうか(詳しくはこちらの記事ご参照)。

  • Traditional Bar Reviewは、さらに教材の充実度に応じて、①Self Pass(約$2,000)、②Guided Pass(約$2,600)、③Ultimate Pass(約$4,000)の3コースに分かれます。②がスタンダードなコースです。①は教材がデジタル配布のみ(Hard copyなし)という点が②との大きな違いです。③は何でも入っている豪華パッケージ(1対1のチューターセッションやiPadが付いてきます。)ですが、高額であり不要なサービスが多いと思います。詳しくはBarbriのHPをご覧ください。全てデジタルで勉強できる人は①、勉強は紙媒体派の人は②をお勧めします。筆者は②を選びました。

3 おわりに

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