ドラクエ3 ZERO #1プロローグ (二次創作小説)


かつてアリアハンが世界の中心と言われていた時代よりも前、険しい山々に囲まれた、後にネクロゴンドと呼ばれる地域があった

未知の魔物が出るという噂があるギアガ高地があるが、広大な鉱山に眠る資源、鉄や銅を求めて人々は開拓していき、莫大な利益を得た者達で結成したネクロゴンド財団

その創設者であるネクロ=ゴンドは、建国を宣言する

自らが王となり、高待遇で労働者を募り山地を開拓してネクロゴンド王国を創った 周囲を高い壁で包み、更に大規模な水路で囲んで外敵の侵入を防ぐといった難攻不落の城も建設した 

ーーー時は経ち麓の街テドン
鉱山の資源がもたらす恩恵により沢山の人が集まっている

ネクロゴンド王国では兵士を募っており、志願に来ていた若者も多く集まっていた 武闘家であった父の背中を見て育ったこの男、ソウマ(18)もそんな若者の1人である

(ネクロゴンド城兵士募集の貼り紙を見ながら)
ソウマ「武の心得のある者は高待遇 試験に合格すればお祝い金5000ゴールド進呈...!? 随分と太っ腹じゃないか 親父に習った武術で合格できるといいけど」

ソウマの父は武闘家、その腕前を生かし各地へ赴き魔物退治や人助けをし生計を立てていた 母とは仕事の依頼を通じて出会ったらしい 仕事から帰るとソウマによく武術を仕込んでいた 

ーーー数年前
仕事で行方不明者の捜索をしていた時、山道で熊に襲われていた女性を助けて負傷してしまい、仕事は一時休止して療養をしていたある日、旅路で出会った人達だろうか、父のお見舞いに訪れた人達に武勇伝を語っている

親父「その時よ、オレの腰を深く落として放った正拳突きが熊の鼻っ柱に完璧にキマった ありゃあ会心の一撃だな 熊のやろう慌てて退散してったぜ 襲われてた人を庇って傷を負っちまったけどよ、ハンデがあってもこの鍛えた肉体があれば無問題よガハハ!」

一同「きゃあ〜 カッコいい〜」

ソウマ「(話盛り過ぎじゃねぇの? ていうかお見舞いに来る人ほとんど女の人じゃん... )」


ーーー それから数年後

ネクロゴンド王国の高報酬の魔物調査の仕事に志願した父、出発の日の朝

親父「じゃあ行ってくるぜ ギアガ高地か、新手の魔物が出たって噂の調査が今回の仕事だな」

母「帰ったらあの子にまた稽古をつけるんでしょ? 無茶はしないでね」

親父「なあに、7日後には帰るからよ それにネクロゴンド城の兵士も一緒に来るそうだから心配すんな」

母「7日後はちょうどあの子の誕生日よ ご馳走様を用意して待ってるわね」

親父「おっ そうだったか そしたら仕事の帰りにテドンのバザーでお土産でも買って帰るとするか じゃあ留守を頼むぜ」

母「いってらっしゃい」

(寝室)
ソウマ「Zzz...」


ーーーー数日後 ネクロゴンド城

王「報告せよ」

兵「はっ! ギアガ高地の洞窟にてドラゴン型の魔物と遭遇、私は帰還する事ができましたが...」

王「まさか、あの者が魔物にやられたと申すか?」

兵「いえ、魔物を追い詰め弱った隙をついて武闘家殿が空中で仕留めたのです ですが洞窟の奥地には大穴があり、魔物と共に落下してしまい消息不明となってしまいました その大穴は底が見えず私ではどうすることもできず...」

王「なんとそのような事が...  あの者の家族へ詫びを入れねばなるまい しかし大穴か、そのようなものがギアガ高地に存在していたとは」

兵「ギアガ高地で見たことのない魔物が出るとの噂と何か関係がある、とは言えないでしょうか」

王「うむ、警戒すべきであるな ともあれまずはあの者の家族の元へ参ろう しっかり説明せねばなるまい」


ーーーー翌日 ソウマの家
王はギアガ高地での出来事をソウマの母とソウマに説明した

母「そんなことが」

王「ご家族の方にはなんと詫びたらよいか... 」

母「いえ、でもあの人は魔物にやられたわけではないですし 生死の確認はできてないわけですよね?」

王「えぇ ですがあの底の見えない大穴に落下したとあっては」

ソウマ「あの親父が簡単に死ぬかよ 王様も親父を見ましたよね? あの筋肉の鎧みたいなでたら目な体つきを」

王「う、うむ 確かに屈強な男であるな」

母「私もそう思います 熊を素手で倒すくらいですから」

ソウマ(いや、それは多分話盛ってる)

どこか冗談混じりと思える雰囲気に困惑気味な王

王「ま、まあ今後もギアガ高地の調査は続けますので、旦那さんの行方について進展があれば報告いたします こちらは今回の報酬とお見舞いです」

ソウマの母は10000ゴールドを受け取った


ーーーーそれから1ヶ月、半年、一年経っても父の行方は分からなかった

3年の月日が流れ、ネクロゴンド城の兵士採用試験に来ているソウマ 父に仕込まれた武術と、多少の魔法の心得のあった母に習った呪文で試験はあっさりと突破していた

王の間 合格者と王の接見が行われている

王「おぬし? そうか、あの時の武闘家のご子息か」

ソウマ「お久しゅうございます」

王「随分と鍛えたようだな 頼りにさせてもらうぞ」

ソウマ「精進します」


ーーーーそれから約半年 兵士として一通りの仕事を覚えたソウマ 日々鍛錬をし、すっかり慣れてきた頃

約3年前のギアガ高地でソウマの父が行方不明になったあの日以来、高地周辺にて未知の魔物を見かける事もなくなり、ここ2年は調査も行われていなかった しかし最近になって未知の魔物を見かけたとの噂が入っていた

ネクロゴンド王は調査の志願を募った もちろんソウマは即座に志願した

王「行ってくれるか? しかしおぬしにとってあそこは何と言ったらよいか」

ソウマ「いえ、どんな所なのかも興味がありますし 父のことも何か分かるかもしれないので行かせてください」

王「よしわかった、しかしおぬし1人でというわけにはいくまい 街で仲間を集めて準備をするといい 地図といくらかの準備金を出そう」

ソウマはギアガ高地の地図と5000ゴールドを受け取った

王「調査期間は7日ほどだ もし万が一おぬしが戻らぬ場合は別働隊を向かわせる くれぐれも無茶をせぬようにな」

ソウマ「わかりました ありがとうございます」


ーーーーテドンの酒場

ソウマは酒場のマスターに仲間を探していることを話した

マスター「そうか、見たところお前さんは武闘家だな じゃあ魔法の使える仲間が居た方がいいな」

ソウマ「そうですね 攻撃魔法と治癒魔法、攻守揃えた方がいいかな」

マスター「攻撃魔法の使い手ならちょうどいい奴が居るぜ おーいハーモス、ちょっと来てくれるか」

マスターとソウマは事の経緯を話した

ハーモス「ふ〜ん 面白そうじゃないの 報酬さえ貰えりゃ喜んで行くよ」

お互いに自己紹介 ハーモスは30代のベテラン冒険者だ 妻帯者であったが今はワケあって独り、各地で用心棒のような仕事をしている

ソウマ「マスター、治癒魔法の使い手に心当たりはないですか?」

マスター「あるにはあるんだがな 今日はまだ見てねぇな バザーで買い物でもしてるのかもな 探してきたらどうだ? 赤い髪が腰くらいまである女だ、目立つからすぐ分かると思うぜ」

バザーにやってきたソウマとハーモス 防具屋の前で腰まである赤い髪の女性を見つけて声をかける

ソウマ「あの、治癒魔法の使える仲間を探してて 酒場のマスターから貴女の話を聞いて...」

赤い髪の女「ん? 冒険者としての仕事かしら? 報酬しだいね って、あら? ん〜?」

ソウマをジロジロと見る赤い髪の女

ソウマ「な、なにか?」

赤い髪の女「あなた名前は?」

ソウマ「ソウマです」

赤い髪の女「出身地は?」

ソウマ「カザーブの村です」

赤い髪の女「やっぱり!? 久しぶりじゃな〜い 10年ぶりくらいかしら?」

さっぱり誰か分からなかったソウマ

赤い髪の女「覚えてないの? 隣の家に住んでいたじゃない 少し歳上のお姉さんよ あんなことやこんなことして遊んだの忘れたとは言わせないわよぉ?」

ソウマ「... あっ ルヴィちゃん?」

ルヴィ「そ、急に引っ越すことになったからね ちょうどその時ソーマ一家は何日か家空けてたでしょ? 挨拶すらできなかったね」

ソウマ「そうだったんだね それにしても君が冒険者になっていたなんて」

ルヴィ「まあなんだかんだで稼げるし? おかげでこうしてソーマと再会もできたし結果オーライね」

遠目に尊い目で2人を見ているハーモス

ハーモス「若いっていいねぇ」


一通り今回の旅の目的を全員で確認し、王様から貰ったゴールドで支度を整える一行

ハーモス「じゃあ改めてよろしくたのむぜ2人とも」

ルヴィ「サポートは私に任せてよね」

魔法使いのハーモスとルヴィが仲間になった

その日はすでに日が傾いていたので出発は明朝、ソウマ達は宿屋で早めに就寝した


そして夜があけた



次回予告

ギアガ高地へ向けて出発したソウマ一行

数年前、ソウマの父が行方不明になったギアガ高地の洞窟にある大穴とは一体なんなのか

父への思いを胸に歩みを進めるソウマ


ギアガ高地で待ち受ける未知の魔物とは?


次回、#2 ギアガ高地の謎




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