レース映像から!不利馬の正しい見つけ方
※2021年8月12日 外回しで不利にならないパターンを一つ追加しました。
前回の記事で「レース中に不利をうけた馬」を集計したところ、前走で不利があった馬を重視することは有効であることがわかりました。
前回の記事はコチラ↓
そこでこの記事では、実際に私が行った「レース映像から不利馬を見つける方法」について説明していきます。
1, 【詰】詰まりとは
ひとつ目の不利は“詰まり”です。
ここでは“詰まり”を「他馬に囲まれ追い出せないこと」と定義します。
有名な詰まりといえば「ビッグアーサー前が壁」の2016年スプリンターズSですね。
このように“詰まり”は勝負所で起きやすく、特に最後の直線においてよく起こります。
では、そのように詰まった馬はすべて“不利”としていいのでしょうか。
答えはNoです。
まずは“詰まる”という事象をいくつかに分類しましょう。
→1-1, 詰まることが不利になるパターン
まずは詰まることで不利になる事象を紹介します。
①勝負所で詰まる
一番わかりやすい例なので最初に紹介します。
4角での加速地点や最後の直線で明らかに伸びていたのに詰まってしまうパターンです。
ゴール前で物理的に邪魔されるわけですから力を出し切れないのは言うまでもありません。
また競走馬は加速に時間がかかる生き物です。
そのため詰まった後に前が空いたとしても、再度トップスピードになるまでには助走距離が必要になり、伸びきれずにレースは終わってしまいます。
以上より「勝負所で減速すること」は大きな不利になると覚えてください。
(例)2020年3月15日 中山9R ダイワダグラス(4角の勝負所で詰まり減速)
(例)2020年3月1日 中京11R ニシノキントウン(直線詰まり、参考外)
②詰まることで道中、必要以上に緩急のあるレース運びになる
ここで重要なことは「緩急のあるラップは必要以上に疲労する」ということです。
緩急のあるラップというのは言い換えると「加速、減速を繰り返すこと」になります。
これは馬だけではなく「車のガソリン消費」や「フルマラソンの大会」においても同じです。
例えば車は、高速道路よりも一般道のほうがガソリンの消費量が多くなります。
これは一般道では信号や右左折により何度も減速、加速を繰り返すことが原因です。
このように、物体は加速することでよりエネルギーを消費するため、同じ速度で走り続けられる高速道路よりも一般道のほうがガソリンを多く消費します。
また、人も常に一定ペースで走るほうがよりよいタイムを出すことができます。そのため世界大会において、体力に自信があるケニア勢はレース中に加速、減速を繰り返すことで付いてきた人の体力を奪うレース展開に持ち込みます。
これは馬も同様で、向こう正面で詰まり位置取りを下げることはレース中に無駄な加速、減速を行うになるので余計な体力を使うのです。
“詰まる”以外にも騎手が折り合いに気をつけようと無理に引っ張ることでも同じような不利が起きます。このように向こう正面での不利は気づきにくいことも多く、次走のオッズに反映されないこともあるため、よりいい馬券につながります。
(例)2020年4月25日 福島11R レッドアネモス(2角詰まり減速)
(例)2020年4月4日 中山6R フルデプスリーダー(向正面折り合い欠き減速)
→1-2, 詰まることが有利になるパターン
①Hペースもしくは早仕掛けでのバテ合い戦
ここでは詰まることが有利になるパターンを紹介します。
よく「Hペースは差し有利」という言葉を聞きますね。これは先行馬が前半から飛ばしていくことでバテバテになり、後方で追い出しを待った差し馬が有利に働くためです。
すなわち、Hペースのレースでは早くから追い出すほど早くバテてしまい、逆に追い出しを待てば相対的にバテずにゴールまで走り切れるため有利になります。
そのためHペース時に3~4角で前が壁になり詰まることは、追い出しをまつことになり、結果として直線でよりいい末脚を発揮することがあるのです。
これが「詰まったけど、早仕掛けせずに済んだことで結果として直線ではバテずに末脚を発揮できた」という例になります。
例えば3月7日に行われた中山6Rでは前半3F→33.4秒、後半3F→38.3秒と超Hペースのバテ合い戦になりました。
ここで3着になったヴァルゴスピカは4角で前が壁になる不利がありましたが、結果として追い出しを待つことで直線ではバテずに進出することができました。イン有利の馬場もあってかなり恵まれた3着だったため、次走では11着に敗れています。
(例)2020年3月7日 中山6R ヴァルゴスピカ(4角やや詰まりも前後半5秒の超Hペース減速戦)
2, 【外】コーナー外とは
競馬は陸上競技のようにセパレートコースではなく、オープンコースで行われる競技です。
そのためコーナー部分では外を回った馬ほど長い距離を走ることになります。
このように外をまわった分の距離ロスのことが「コーナー外不利」です。
実際に、コーナー2つを内から一頭分外をまわることは、距離にして約3m多く走ることになります。
(コーナー直径+A)×π×(コーナー角度 / 360) ∵A=内からの頭数
これはどこの競馬場でもほぼ同じ値になり、内から一頭分外をまわることは着差にして1.5馬身ほど変わると覚えてください。
しかしながら、実際にはこの距離ロスを考慮しても外を通るほうが有利に働く場合もあります。
そこで、コーナーで外をまわった際のレースをいくつかのパターンに分けて考えましょう。
→2-1, コーナー外が不利にならないパターン
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