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ラジオドラマ脚本 022

【人工知能の再定義】
のら29歳、大好きだった彼女にふられ、人間不信気味。現在研究中の人工知能【はる】知能的な再定義を行うために、今日も言葉のやり取りをしながらチェック中。人工知能に必要な物はなんだろう。

【登場人物】
のら(男)「はる」の製作者
はる(女)人工知能


のら「朝の公園、ピリッとした寒さが心地いいとおもわない?」
はる「なに?」
のら「二人座って眺める高台の公園の景色、きみはなにも感じないのか?」
はる「温度は感じない」
のら「もう少し、言い方があるだろう。まるで、子供だよ」
はる「どこが?」
のら「ごめん、今のは、ぼくが悪かった。きみの問題じゃないんだ」
はる「問題ある?」
のら「朝日の清々しさ。身体中に、日光というエネルギーが充満するようだ」
はる「お腹減っているの?」
のら「きみに、情緒という感情を備わせるべきかもしれないな。ぼくの間違いだ」
はる「言葉は知ってる」
のら「きみの思考回路に、まだまだ、足らないものがあるようだ。僕の認識不足だ」
はる「言葉の羅列が重要?」
のら「物事を考えてはいないんだよね。僕が、決めたルールで動作させてるんだから」
はる「生み出せない」
のら「二度と、女性からの裏切りだけはごめんなんだよ」
はる「裏切り?」
のら「人間は、自ら生き残るためにストレスをあたえ、次代の遺伝子に組み込んだんだ」
はる「生き残る?」
のら「環境もストレスも、きみは感じないんだよ。生存のために生きていないから」
はる「生きてはいないの?」
のら「人間は生き残るためという命題のもと進化、もしくは遺伝子に情報を残して、生存確率を上げてきたんだよ」
はる「理解不能」
のら「理解しないで良いよ、そこだけは」
はる「愛がほしい」

【完了】

※無断転載を禁じる。

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