ラジオドラマ脚本 027
タイトル「あの光をめざせ!」
息子ーサトル
母親ータツコ 32歳2人の子持ち
サトル(M)暗くて狭いところは、だめだ。なぜ、こんな所にいるんだろう。早く、この状態から抜け出せないだろうか。どうにかならないか。
サトル「苦しい、息ができないよ」
サトル(M)遠くで、騒がしい声がする。あー、気が遠くなる。
サトル「誰かの声がする! ここにいるぞ! 助けてくれよ!」
タツコ「あれ?なにか聴こえたような?聴こえないような?」
SE 鳩時計の音
サトル「あんなに大声で叫んだのに、誰も気がつかないのか! 次回は、暴れてやるか。鳩時計の音がする。今は、いつなんだろう?」
サトル(M)本当に、暗いところは気持ちが萎える。時々、薄明かりが入る時間もあるけど、ここは、ほとんど薄暗闇。
タツコ「誰かの声が聴こえた気がするけど。あれなんか、お腹が痛い?きたかしら?」
サトル「あれ?どうした?吸い込まれてないか?えっ、助けて〜〜」
タツコ(M)なんかもう、なれた感じ。何も動じない。あっ、旦那にLINEしなきゃ。
サトル「なんだ、気のせいなのか?止まったぞ!」
タツコ「タクシーの手配しないと。松永さんの番号は?こんな時に幼馴染がタクシー運転手で助かる。」
サトル「なんだか、眠くなってきたぞ。」
タツコ「いつもながら、松永くんの運転は、優しいな。眠くなってきた。」
SE 数人の話し声
サトル「なんだか、どこかに運ばれている様だぞ。」
サトル(M)ちょっと、暴れてやれ!それ!
タツコ「あれ、あれ。きたかも? え〜っと、ポタンはどこかしら?」
SE ボタンの音が響く。
サトル「ここから、抜け出せそうだぞ! あの明るい方に行かないと!」
タツコ「3度目ともなると、緊張感がないなあ。」
SE 赤ん坊の激しい鳴き声
タツコ「あっ! 男の子だ! なんだか、人生を悟った感じの顔つき!」