ラジオドラマ脚本 015
タイトル【サブスクで救えるのか?】
登場人物
三郎(父親)65歳 社長
すぐる(息子)35歳 専務
美穂(母親)60歳 経理部長
(N)四半期の報告終了後。片隅で、部屋の中を
を見渡している三郎。
(SE)部屋を片付ける音。
三郎「我が社の右肩上がりの成長も、曲がり角に
きてるかも。」
(N)専務が社長に、近づいてきました。
すぐる「ビジネスモデルの方向転換をする時期で
は?」
三郎(M)おっ、あの報告を聞いて、我が社の将
来性を危惧するとは。相変わらず、抜け目がな
いな。
すぐる「サブスクをしってますか?」
三郎「なんだ?」
すぐる「今までのビジネスのあり方を根底から変
えると言われているシステムです。」
三郎「何がどう変わるんだ?」
すぐる「今までのビジネスって、商品をつくって、
宣伝して、マスに広める」
三朗「セオリーだよ。ビジネスの!」
すぐる「今度は、大量に販売するため工場や物流
など整備。大量に売れることを願うそんなビジ
ネススタイルだったはずです。」
三朗「それが、普通じゃないか?」
すぐる「なぜなら、顧客の考え方が不明だからです。把握できても個々人の思考や行動は、判らない。そんな時代は、とうに終わっているんです。」
三朗「大量消費の時代は、終わった感はあるな。」
すぐる「消費に関しては、高度経済成長期のよう
な考えが販売側にあるため在庫がかさむ一つ
の原因かもしれません。」
(N)部屋の清掃にはいるタイミングで、二人は
戻ることに。
三朗「すまんが、お茶をもらえないか?専務は、
どうする?」
すぐる「私も、お願いします。」
(SE)お茶を入れる音。
すぐる「社長も、うすうす、感じてますよね。」
三朗「商品を作って価格設定。商品にかかる全て
のコストを価格に乗せて売る時代じゃないか
もな」
すぐる「付加価値をつける事も流行りました」
三朗「それでも、川上から川下に流れる一気通貫
ビジネスモデルが、今でも、本流だろう。」
すぐる「それが、今では、顧客を中心にして、円
を描くような形に変わってるようなんです。」
三朗「なんだ。そんなんで。儲かるのか?」
すぐる「消費者の嗜好が変わり、物を所有するよ
りも、利用にかけるライフスタイルに移行して
いるらしいです。」
三郎「CDを買わない時代になってるな。」
すぐる「それも一つですが、定額制にして、毎月
安定した収益を上げるという方法が隠されて
いるんです。」
三朗「定額制か?確かに、魅力的だよな。アップ
ルミュージックやアマゾンプライム会員みた
いな事か?」
すぐる「定額制でそこが浮かんでくるなんて、い
ろんな事に気を配ってるんですね。」
三朗「だが、待てよ。音楽とか映画であれば、最
新版や版権のからみで配信できなかったもの
などが始めれば、まだ、会員になっていなかっ
た人も、会員になり、今以上に収益を安定的に
もたらしてもらえるが。我が社の場合は、どう
すればいい?」
美穂「お茶、まだ飲みますか?」
すぐる「我が社も、サブスクリプションに向けて、
舵を切り、現状から脱出を図りましょう。」
三朗「もう少し、私も勉強してみるか?サブスク
リプションについて。専務も、悪いが、我が社
に、導入した場合のケーススタディをレポート
としてあげてくれ。忙しいと思うが、よろしく
頼む。」
すぐる「判りました。私も、考えてみます。」
(SE)夕飯を告げるアナウンス
美穂「夕飯がきましたよ。もう、親子の間で、社
長と専務のコントやめて下さいよ。」
三郎「何言ってるんだ!株式会社ベジタブルの大
事な会議だぞ。」
美穂「はい!はい!」
すぐる「財務部長も、ちゃんと、参加して下さい。
母さんの、いや。財務部長の将来もあるんです
から。」
美穂「なんで、お前まで、感化されてしまったん
だろう。困ったよ。」
三朗「だから、サブスクリプションに、今後の未
来にかけてみようと専務と討議をしてるんだ。
定額制で、先に利益が確定できれば、お母さ
ん?いや、財務部長も楽できるぞ。なぁ、専務?」
すぐる「そうです。収益の改善も可能だと。そし
て、現状からの脱出も。」
三朗「それにしても、狭い社長室だな。」
美穂「お父さん、今度、この施設から脱出したら、
もっと、狭い社長室になりますよ。次は、サブ
スクリプションなんてない従量制の病院です
から。」
【完了】
※無断転載を禁じる。