ラジオドラマ脚本 029
■タイトル
【笑顔と晴耕雨読】
■梗概
大学時代から、付き合い初めて、社会人になり、そろそろ、結婚を意識し始めた2人。社会人2年目の夏休みにリゾナーレ小淵沢を予約して、プロポーズを画策しようとする勝さん。当時、まだ、バブルの真っ最中。雅美さんも、なんとなく、そろそろかなと。プロポーズをした。思い出の場所。勝さんの早期退職を機に、雅美さんからかつて聞いていた事を思い出した勝さん。そう、言われていた【晴耕雨読生活】プロポーズした思い出の小渕沢で実行ために再訪する。勝さん、いいお家を見つけたようです。
■登場人物
小酒部勝 旦那さん58歳
小酒部雅美 奥さん50歳
不動産店員(男性)
勝(M)三十数年前。この小淵沢で、社会人になり大好きな雅美にプロポーズ。雅美と結婚がしたくて、この場所を選んだんだ。
雅美「嬉しいわ。勝と、この先も一緒だと思うと楽しいわ。老後は、素敵な庭のある家で晴耕雨読の生活をしてみたい?」
勝「それって、今、言うことかな?」
雅美「えっ?添い遂げないつもりなの」
勝(M)プロポーズの時に言われた事が未だに脳裏をかすめる。彼女が添い遂げないの?と言った事が嬉しかった。
(N)乗客が出てきました。その中に、背の高いショートパンツ姿の勝さんも。
勝(M)今夜、何が何でも、プロポーズをOKをもらうぞ!でも、眠いな。
(N)勝さん、改札の脇の立ち食い蕎麦屋を見つけメニューをじっと見ています。
雅美「馬肉そばが、おすすめだよ」
勝「えっ?何で、いるの?」
雅美「ショートパンツは良いけど、中途半端な丈の靴下はやめて、恥ずかしいから」
勝(M)素足に、スリッポン?それじゃ、ラモスと一緒だよ。
雅美「昨日、実家の須玉町に泊まって、車で送ってもらったの」
勝「実家って、この辺なんだ?」
雅美「あっ、お母さんに挨拶したかった?」
勝「いや、遠慮しとく」
雅美「会員制リゾートホテルなんて、いつ、買ったの?バブルなことやめた方が良いよ」
勝「夢だったんだ。こういう生活が‥」
(N)2人が送迎バスに乗り、リゾナーレ小淵沢に向かいます。
雅美「さすが、高級会員制リゾートホテル。回廊で、車のCM撮影やってるなんて」
(N)チェックインを済ませて、部屋に入った2人。
雅美「メゾネットタイプの部屋。選択は、勝のセンスなのかしら?面白い作り。いかにも、イタリアのデザイナーって感じ」
勝「波の出るプールが、山の中にあるんだ」
雅美「どう?似合ってる?」
勝「オレンジのサマードレス、素敵だよ」
(SE)レストランに流れるジャズの音楽
雅美「美味しかったね。ワインのチョイスも最高だった。勝、ワインいつ覚えたの?」
勝「バブルの恩恵だよ」
雅美「私以外の子とデートしてるんだ」
勝「意地悪言うなよ」
雅美(M)勝のやつ、いつになったら、プロポーズするつもり??
雅美「ねぇ、勝は、結婚したら、奥さんの事、ちゃんと大切にするの?」
雅美(M)キラーパスを出したんだから、受けとってね。
勝「俺の嫁さんになってくれ!」
(N)あまりにも、唐突。大きな声のためにお客さんが勝さんを凝視した。
雅美「ちょっと、恥ずかしいから、座ってよ」
(N)不動産屋で打合せ中の居眠りする勝さん。店員に起こされています。
店員「お客さん、起きてください。」
勝「あっ、すみません。契約ですよね」
店員「素足にスリッオン、石田純一みたいですね」
勝「30年か。店員さん、この庭の手入れ大変かな」
店員「駅からも、近いし、金額もお手頃だと」
勝「ここに決めた。手付は、今週中に振込みますので、よろしくお願いします」
店員「ありがとうございます」
勝「庭の手入れ、素人の僕でもできるかな?妻が晴耕雨読をしたいって言うからさ。大好きな奥さんのために僕がやりたいんだ」
店員「得意な人がいますので、ご紹介します」
勝「よかった。これで安心。妻の喜ぶ顔がこの先も見れないと困るんだ」
【完了】
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