⑬ 学生の表現ⅲ

ここまで理解を深めてきた学生に対して、日常生活における論証の構造(Cの構造)で「自分の愛するもの(こと)」について表現させました。
今までの学習のように看護の分野で表現させた方がよいとも考えましたが、まだ1年次であり知識も経験も少ないことから、誰にでも書くことがあるこのタイトルとしました。
また、このタイトルで表現させることにより、今まで意識することのなかったであろう「理由づけ」を再確認することができるとも考えます。
以下に代表的な学生の表現を示します。

<私の愛するもの>
私の愛することは、絵を描くことである。
私は高校になって美術部に入り、本格的に水彩画や油絵、デジタルツールを使ったイラスト画などのジャンルを学んできた。そして、放課後のほとんどが美術漬けになるほどがんばってきた。特にイラスト画は今も描き続けているほど好きである。
私の絵の対象は風景画や電車などの乗り物が多い。よって、よりよい画材が必要となる。その取材のために、高校時代の休日は6時間以上もかけて群馬から鎌倉まで江ノ電の写真を撮りに行ったこともある。今でも休日はいろいろなところに絵のための取材に行っている。
このように、私は絵を描くことがとても好きなのである。
この絵を描くことは、私に「努力を重ねることの意味」「自分らしく生きることの大切さ」を教えてくれている。
実は、私は小学校の頃は絵を描くことが苦手であった。しかし、それを克服しようと入部した美術部で頑張っていくうちに、描く技術が身につきだんだんとを描くことそのものも好きになっていった。
そして上達してきてから家族の集合した絵を描いたところ、父や母から「あなたらしさが絵から感じられる」「とても良い絵だ」「家の宝だ」と大いに褒められた。本当にその時は心から嬉しかった。
このように、絵を描くことによって私は「努力を重ねることの意味」を学び、自分自身の成長も実感することができた。絵を描くことは私にとってかけがえのないものなのである。
私は看護師になるという夢がある。今は座学で難しい理論を学ぶことが多いが、あきらめないで努力していきたい。この理論は必ず実習や実際に看護で生きてくるし、将来の私にとってとても意味があるものなのである。立派な個性のある看護師になれるよう一日一日をがんばっていきたい。

      <Cの構造>     
     根拠となる具体的な事実
        ↓ *帰納
     判断・考察(データ)
        ↓     根拠となる具体的な事実
        ↓        ↓ *帰納
        ↓ ←←←← 判断・考察(理由づけ)
        ↓ *演繹
       主 張

      <学生の表現>
  ・美術部での活動と現在
  ・絵の画材のための取材の旅
        ↓
   私の愛するものは絵を描くことである
        ↓
        ↓   ・苦手な絵の克服
        ↓      ・上達した喜び
        ↓        ↓
        ↓ ←←絵を描くことは「努力する意味」自分の成長を教えてくれる
        ↓
   私は愛する絵によって努力と成長を教えてもらった
  (これは看護師となるためにも大いに役に立っていく)

「理由づけ」の明確な「Cの構造」で論理的に表現されたものであると言えるでしょう。


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