① 学生の表現ⅰ
ここから示していく授業は、看護専門学校において基礎教養科目となる「論理学」(管理栄養士を育成する専門学校においては「国語表現」という科目)で筆者が行ってきたものとなります。本マガジンの①②③で示してきた日常生活における論証についての最も基本となる考え方を基に授業を展開してきました。
まず、マガジン『論理的思考力・表現力をどう育成するか④(理論編:具体表現)』の記事①の動画で示したように、「僕のお父さん」を用いて論理とは何かについて講義をしました。
① 動画「論理とは何か」|小次郎|note
ポイントは、マガジン『論理的思考力・表現力をどう育成するか①(理論編:構造の理解)』①で示してきた「僕のお父さん」の前提となる理論を省略して講義に入ったということです。
この意味は、マガジン『論理的思考力・表現力をどう育成するか①(理論編:構造の理解)』の記事⑭の動画で示した日常生活における論証の構造の「bの構造」である「僕のお父さん」が、学生にとって最も身近な表現となるからです。
⑭ 動画「日常生活における論証の構造」のまとめ|小次郎|note
この指導後に表現してもらったものが以下に示すものです。
全員が参加した「看護研究発表会」について、「はじめ・なか・まとめ・むすび」の4構成で意見文を表現してもらうことになりました。
「はじめ」私は先日3年生の先輩方の看護研究発表会に参加しました。
「なか①」ある先輩は、なかなか心を開いてくれない患者さんに対して、ただひたすらに話しかけるのではなく、相手の行動をよく観察し「時間に正確な方だ」と性格を把握したら、朝にその日の詳細な計画を書いて渡したということでした。そしてその後はよい人間関係が築けたそうです。
「なか②」またある先輩は、患者さんが安心して入院生活をおくれるように、何度も何度も看護計画を練り直したそうです。その結果、その患者さんは笑顔が増え安心して入院生活をおくることができたということでした。
「まとめ」看護研究会に参加して、看護には単に知識や技術だけでなく、実際にその場に応じた観察力や判断力が大切なのだということがわかりました。
「むすび」これからは、ここで学んだことを生かして一人前の看護ができるように努力していきたいと思います。
2つの「なか」の具体的事実から帰納的に「まとめ」が導かれています。さらに、「まとめ」から「むすび」への演繹的な整合性も問題ありません。申し分のない論理的な表現であると言えるでしょう。