② 教科書における「順序」の扱い

①において「順序」とは「具体的な事実の配列の在り方」と「ひとまとまりの表現の構成の在り方」の2種類に分けられると述べました。しかし、実際の指導においてはこのところが曖昧になっているのが現実です。異なる種類であるのに「順序よく表現しなさい」と同一の指示を出していることになるのです。
学習指導要領とともに指導の拠り所となる教科用図書においても曖昧に使われています。まず「具体的な事実の配列の在り方」を考えさせようとしているものとして以下の教材があげられます。

・光村図書2年下『たんぽぽのちえ』
 学習課題「じゅんじょが分かることばに気をつけてよみましょう」
・同『どうぶつ園のじゅうい』
 学習課題「ひっしゃは、いつ、どんなしごとをしましたか。じかんのじゅんじょが分かることばに気をつけて、たしかめましょう」
・同『馬のおもちゃの作り方』
 学習のまとめ「せつめいのしかたに気をつけて読む」→「『まず』『つぎに』などのことばをみつけて、じゅんじょをとらえる」

『たんぽぽのちえ』『どうぶつ園のじゅうい』では事柄が起こっていく時間的な順序を「やがて」「お昼前には」「お昼すぎには」などの手がかりとなる言葉を基にとらえさせていくことになります。『馬のおもちゃの作り方』でも作るための時間的な順序をとらえさせるのですが、ここでは「まず」「つぎに」などの一般性・汎用性のある言葉に注目させることになります。

「ひとまとまりの表現の構成の在り方」については以下の教材があげられます。

・光村図書2年下『こんなもの、見つけたよ』
 脚注1「(文章の)組み立て」→「文しょうなどが、どんなまとまりとじゅんじょでできているかということ」
 脚注2「組み立て」→「はじめ・中・おわり」の3構成→「はじめ」は「知らせたいこと」・「中」は「くわしいせつめい」・「おわり」は「まとめのことば」

「文しょう」という「ひとまとまりの表現」の「組み立て」方についての説明となります。構成要素となる3つを順序よく配列することの必要性を学ばせることになります。

ところが、低学年の最後の教材となる『楽しかったよ、二年生』においては、「ひとまとまりの表現」である「組み立て」(3つの構成要素)の順序という観点がなくなって、要素のひとつ「なか」の順序(「具体的な事実の配列の在り方」)に絞られて述べられています(本文にある「組み立て」についての説明を以下に示します)。

「はじめ」・心にのこったことが何かを言う。
「中」・そのときにしたことや、思ったことなどを話す。
   ・できごとのじゅんじょが分かるように話す。
「おわり」・まとめのことばを言う。

このように、教科書教材においても2つの「順序」が混在して曖昧なまま用いられていることになります。これでは教育現場は混乱してしまうでしょう。

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