④ 「会議」「話し合い」の原理・原則1

①から③までの講義を通し、日常生活における論理について理解を深めた学生に対して、その理解を応用させる講義を行いました。
具体的には、「会議」や「話し合い」の仕方を考えさせるることによって、その結論に説得力を持たせるためにはどうしたらよいかということを理解させていきました。

「会議」や「話し合い」は、その対象となるものにある結論を与えることあゴールとなります。
「会議」や「話し合い」は論理的表現なのですから、当然それは論証の構造に則って展開させるものとなります。日常では「はじめ・なか・まとめ・むすび」という構造で展開されることが常となりますから、結論に説得力を持たせるということは「むすび」を強めていくということになるのです。
これを「論理を強くする」と言います。
そのためには、マガジン『論理的思考力・表現力をどう育成するか④(理論編:具体表現)』の記事①の動画でしたルービックキューブで言えば、以下の2点が重要になってきます。

① 動画「論理とは何か」|小次郎|note

・「なか」を多種多様にしていく
 (ルービックキューブの小さい四角を増やし色を濃くしていく)
・「むすび」に導く「まとめ」を複数にしていく
 (ルービックキューブの複数の色が見えるようにする)

このことを理解させるために、「会議」「話し合い」の仕方について考えさせました。
まず、「会議」や「話し合い」の基本は「 賛成すること」であり、それは「 同じ立場に立って考えること」であるということを押さえました。
そして、小学校時代を想起させて『クラスの代表を決めよう』という議題で話し合うこととして授業を進めました。この場合の「話し合い」とは、多数決でクラス代表としてAさんが決まった後のものとなります。つまり「Aさんはいかにクラス代表としてふさわしいか」ということについて合意形成する(クラス内で意見を共有する)ためのものとなります。
「話し合い」は一人の発言からはじまります。この発言を指導者の私(Bさん)が以下のように示しました。

Bさん「Aさんは整頓係の仕事を放課後残って最後までとりくんでいました。また、クラスの毎日の課題である自主学習を毎日欠かさず提出していました。私は、Aさんはとても責任感があると思います。だからAさんはクラス代表としてふさわしいと思います」  

学生にはこの発言を今まで学んできた「(はじめ)なか・まとめ・むすび」の構成で分析させました。学生は以下のように分析できました。
                        
 なか① 整頓係の仕事の取組み
 なか② 毎日の課題の自主学習の取り組み                    
 まとめ Aさんは責任感がある
 むすび Aさんはクラス代表にふさわしい

ここで「話し合い」の原理原則(その1)を指導しました。これは前述の「『なか』を多種多様にしていく」というものです。
イメージしやすいように講義では「アリの目になる」(ミクロの視点を持つ)という表現を使いました。つまり、アリの目になれば視点が近づいていくことになり「なか」がよく見えるようになるからです。よく見えれば、先ほどのBさんの発言した「なか」以外にも「まとめ」(責任感がある)の根拠となる「なか」に気付けるはずです。
学生たちは、他に見えてきた「なか」として以下のようなものを挙げていました。

・友達と約束したことは必ず守る
・一度決めたことは一人になっても最後までやり遂げる

これらを「なか③」「なか④」とすると以下のようになります。二つの「なか」が四つになったということになり、「なか」と「まとめ」の帰納的な関係性が強まったということになります。

 なか① 整頓係の仕事の取組み
 なか② 毎日の課題の自主学習の取り組み
 なか③ 友達と約束したことは必ず守ること
 なか④ 一度決めたことは一人になっても最後までやり遂げること                   
 まとめ Aさんは責任感がある
 むすび Aさんはクラス代表にふさわしい

ルービックキューブで言えば、今までキューブの黄色面はふたつの黄色い四角から構成されていたものから四つから構成されたものとなったということになりす。つまり、黄色がより濃くなったということになり「まとめ」が強くなったことになるのです。

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